第4話 4月29日
4月29日のお昼。平成の終わりはもうすぐである。私は大学内の食堂の柱に寄り掛かる凛さんを見つけた。
「あ、ミノリちゃん。やっほー」
「凛さんこんにちは」
「行こっか」
凛さんはきつねうどん、私は鶏肉のトマト煮。てんでばらばらな料理をもった私たちは席へ座った。
「凛さん、うどんなんて食べるんですね」
「食べるよ。逆に何食べると思ってるの」
「なんかもっとハイカラなもの食べると思ってました。髪の毛も赤いし、それこそ、うーん、トマト煮とか」
「ミノリちゃんこそうどん食べそうな顔してるけどね」
「それちょっと失礼ですよ」
今日は、私と凛さんで放課後の予定を立てることになっていた。私はスマホを取り出して近くの居酒屋だとか料理屋さんだとかを探していた。
「うーん、ミノリちゃん」
「はい」
「お泊りでもしよっか」
「はい?」
お泊り。正直出会ってまだ二日目の人の家にのこのこと上がり込む勇気はあまりなかった。
「大丈夫だって、襲ったりしないし」
「そういう問題じゃないですよ……」
私はかなり渋ったが、鶏肉のトマト煮がなくなるころには私は凛さんに丸め込まれいた。本当に強引な人だ。
「凛さん、私のこと殺したりしないでくださいね。平成最後の殺人!とか言って」
「私はいくらなんでもそこまでサイコパスじゃないわよ」
「どうだか……」
私と凛さんは後で落ち合う約束をしてそのまま別れた。平成フレンドが欲しいとかのたまう知らない人と会う約束はできるのに、泊まりに行くのは躊躇うんだから私もおかしなやつだな。そんなことを考えていると、次に同じ授業を受ける友達が前方からやってきた。
「ミノリ、おはよ」
「おはよう」
「ねぇさっきの人、すごい赤い髪だったね。友達?」
「うーん……。まぁ……親友的な」
「親友的な……?」
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