一二二.黎明編の事
やや今さらですが、『宇宙戦艦ヤマト 黎明篇 アクエリアス・アルゴリズム』のお話を。もちろん2205前編も見ておりますが、まずは順番に。
当初、本作に関しては期待と共に不安もかなりありました。
ヤマトに対するテンションは、完結編ではかなり下がり、復活編ではズンドコに陥っていました。その完結編と復活編を繋ぐエピソードということですから、期待しきれないものがありました。
しかし、それは杞憂でした。
完結編で起きた事を何もなかった事にせず、ちゃんと復活編に繋ぐ道を作り、ヤマトのままで、SFをやる。
古代の、苦しむ人を救いたい真っ直ぐさは組織と衝突し、やがて貨物船の船長になる布石が打たれます(ただしそこまでにもう一つ二つ物語がありそうですが)。その一方で美雪にとってのよき父、(死語ですが)マイホームパパぷりも見られますし、替りに雪が戦艦の艦長になる道も見えてきます。
完結編で爆砕したはずのヤマトが復活できる状態だったのかに対する説明もつき、道筋も微かに見え、完結編以前の消えたキャラクターたちも登場。ラストでの、そこまで未登場だったオールスター出演ぶりも嬉しくなってしまいます。
もちろんストーリーに必須な厄介者、敵も登場(勢力としては再登場?)、そして未来(復活編)への前振りもしっかりとしています。
完結編でのマイナスポイントトップクラスである沖田艦長の復活。しかしそれにも、懸命に納得しうる理由付けした上映当時のノベライズ版(著者:岬兄悟)があり、今作ではその設定に、岬氏の許可を得て準拠させてもらったとの事です。
確かに、これを読んだ後でならあのシーンを見た時のイラつきも無かったのではとも思えました。
また例によって余談なのですが、その記述を読んでおきながら忘れてしまっている可能性もあるのです。確か、ノベライズ版の前編だけ買って読んだのです。『さらば』の時にノベライズ版を全部読んでから映画を見に行ったので、泣けなかったため、だったような薄い記憶が。
で、前編がとても面白かったので期待して映画館に行って、なんかこう、違ったなあと思って、後編を読まなかった気がします。
先の描写が前編にあったか後編にあったか。ま、覚えてない&もう持ってないので、答えが出ないんですけれど。
ともかく、そのように元作を否定せずに世界を広げていくスタンスが、とても嬉しかったのです。それにヤマトでちゃんとSFをやろうという志が心地よかった。ヤマトとSF界との関係と言えば、それはもうアレなものがありますからね(遠い目)。
そういえば完結編のノベライズにもそういう志を感じた気がします。岬兄悟氏も当時新進気鋭のSF作家さんでした。氏がヤマトの原案者である豊田有恒氏の設立した『パラレル・クリエーション』のメンバーである事はこの文章を書くために調べて初めて知りました。
復活編ではお父さんとの関係がややこしい事になっていた美雪ちゃんも、感受性強く利発で勇気あるところを見せてくれます。あとお父さん大好き(お母さん好きなのは、復活編でも明らかでしたが)。
そして折原真帆も、天才ぶりをフル回転させてくれます。この時点では古代達とあってないはず、という天はちゃんとクリアされていますのでご安心を。
ロボットのパピライザーも、単なるロボットにとどまらない愛嬌と活躍を見せてくれます。っていうか、逆に復活編にこの子がいない事が不安になってしまうんですが。黎明編に続編があるなら、そこで何かあるんですか?!(錯乱)
などなど、他にも独自メカも複数登場して活躍してくれますし、見どころは沢山です。
リメイクシリーズの登場で影が薄くなりかけた元作シリーズに新たな命を注ぎ込む本作、私はその登場を歓迎します。
で、続編はいつですか?!
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