九十.『さらば』とは何か再び(さらば…肉丸?)
「君は愛する人を守るために死ねるか」をテーマに掲げた『さらば』。
かの主題歌も「君は手を広げて守るがいい からだを投げ出す値打ちはある」と歌っています。
しかしこの物語の中では、古代が守りたかった雪はすでに死んでいるのですよね。
まあ、古代が雪を失ってもなお守りたいのは地球の人々であり、雪もまた同じものを守ろうとした『愛の戦士』だった、ということで納得する事も出来るのですが、古代の死が後追い心中めいて映るのも無理からぬことです。
第一作以上にヒットした『さらば』は、多くのアニメの作り手に大きな影響を与えます。ポジティブな反応も、ネガティブな反応も。
富野監督がガンダムブームが起きると、「ヤマトを潰せ!」とのたまったと伝えられますが、もちろんそれだけではありません。
私の印象に残っているのは、(『さらば』から数年後の事になるのですが)『さすがの猿飛』最終回です。巨大な敵相手に宇宙戦艦に乗り込んだメインキャラたち。
指揮官は『愛する者を守るために死ねー!』と特攻を指示するのですが、主人公の肉丸たちはその愛する者が隣にいる事を思い出し、「愛する人を守るために出来る事はこれだー!」と全員脱出してしまうのですね。
ちなみにその戦艦の名前、今調べたら
その脚本を書いたのがかの首藤剛志氏。その彼に西崎初代Pから呼び出しがかかり、唐突にヤマト次回作のアイディアを聞かれた事があったそうで。
時期は完結編の後ではあるようなのですが、上の最終回より後かどうかは、氏の文章からは読み取れませんでした(多分後だと思いますが)。
で、思い付きを色々話したのですが、それっきり。内容については『シナリオえーだば創作術』の116回を検索してお読みください。ただヤマトに対して好意的なスタンスではないのでご注意をば。
後に首藤氏はテレビアニメ『機動戦艦ナデシコ』の脚本陣にも加わるのですが、最初に手掛けた話を考える時に、この思い付きが浮かんできたそうです。
といっても首藤氏は作品全体に関わっていた訳ではないので、その思い付きが『ナデシコ』の元になった、とか言う訳ではないのです。そうだったらまた面白かったんですけどねー。
なにしろナデシコは、「男の艦」ヤマトにたいする「女の艦」。船の名前も含めてその企画自体がヤマトに対するカウンターパンチ感を滲ませていましたからねー。
その担当回でクローズアップしたのが星野ルリで、彼女がヒロインを追い抜くほどの人気キャラになった(そして劇場版ではヒロインに)シンデレラストーリーの始まりとなった回である、と私は思っております。
いやもちろん、第一次エヴァブームがあって、綾波レイの人気があって、ルリルリもローテンション少女として一部アヤナミストの琴線に引っかかった、っていう側面は承知しておりますが。中身は似てないですけどね。
(盛大に脱線した話を回収せずに、あとちょっとだけ)
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