八十九.『さらば』とは何か再び(二兎を追う者は)
『さらば』の大ヒットは、作品の運命を大きく変えました。
皆さんご存知のように、『2』ではデスラー、佐渡先生にアナライザー、真田さん、森雪、そして古代進が生き残ります。
それは松本御大の主張だとも、先代西崎Pがもっと儲けられると考えを変えたからだとも言われますが、恐らく両方であっても矛盾はしないので、私はそう思っておきますw
高視聴率を記録した『2』の後を受けて、再び(文字通り)新たなるヤマトが作られ続きました。それは『さらば』とは違う時間の流れではありますが、その記録的ヒットと無縁である筈はありません。
そのラストの感動をなぞるように、以後もクライマックスで誰かが死ぬ、というのが半ばルーチンの如く繰り返され、新キャラがその作品の中で死ぬと、『死亡要員』などと言われるようになってしまいました。
そうして、ヤマトシリーズは完結編に至るまで(そして長いブランクを経た復活編までも)、縮小再生産を続けていったのです。
(そう考えると、その連鎖を断ち切ってくれた2199……の前にキムタクヤマト。その功績は偉大だと思います。マジで)
ヤマトの迷走には、先代西崎Pと松本御大の主導権争いなど、様々な理由がありますが、『さらば』の存在も大きな影を落としたと思います。それも、もっとも中核的な初期からのファンが支持する第一作との関係で。
生きる事を柱とした第一作と、人を救うための死を描いた『さらば』。それ以後の作品はそのどちらをも引き継ごうとして、どっちつかずになっていったのではないでしょうか。
だから、主人公とヒロインが共に死ぬ、という終わらせ方は、あまりに危険な諸刃の剣だからやめとけと言ったのに(誰に?)
ヤマトがあれほど続いたのも、その人気が落ちていったのも、第一作と共に『さらば』があればこそ。そう思うととても複雑な気分になります。
(本筋は終わり)
あ、ちょっと余談ですが。
『さらば』上映初期の最後のメッセージ、『もう皆さんの前に姿を現す事は二度と』云々からわずか二ヶ月後の『2』放送開始に、裏切られたような気がしたと冷めた人もいると聞いて、ちょっとびっくりしたのはかなり後の事。
当時、アニメ雑誌などで情報があり、『さらば』ベースの物語になる事は少なくとも放送前には知っていた記憶があります。
もちろんテレビシリーズが、映画のヒットを受けて急遽作り始めた訳ではありません。間に合うはずがない。ただ実際の作画作業は本当にそのくらいからだったそうですがw
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