八十八.『さらば』とは何か再び(もしもの世界)

 『さらば』は、『愛する人を守るために死ぬことは否定されるべきではない』というメッセージを込めた作品でした。そのメッセージの当否は、もうヤマトを論じる、というレベルの話ではなくなるのでおいておきます。


 この映画は、大ヒットしました。観客動員400万人、その年の邦画2位。

 メッセージが受け入れられ、感動を呼んだ、という面も少なからずあるでしょう。ですがそれ以上に、愛するキャラクターが次々と死んでいくという衝撃が大きかったと思います。

 ラストシーンでは、主人公である古代進も死に向かって飛び立ち、そこで黄金の光と名曲『大いなる愛』に包まれ、全ての死者と生者と共に、宇宙の彼方へと消えていきます。

 アニメと音楽の相性の良さを、ショーの司会者として宮川泰と出会い、『ワンサ君』でアニメミュージカルに挑戦した西崎(先代)Pはよく知っていた事でしょう。

 それらの相乗効果により、ファンは彼らの葬送に参列したかのように涙を流したのです。


 もしこれが、多くのファンの願ったであろう映画だったなら。

 デスラーと古代が和解してガミラスが再生に踏み出し、古代がガトランティスの国民を殺さずに大帝を倒し、古代と雪がラストで結婚する、そんな映画だったとしたら。

 そうであったら、この映画はここまでの大ヒットにならなかったでしょうし、シリーズはその後の『2』で、あるいはせいぜい『永遠に』ぐらいで終了していたのではないでしょうか。



 その方が良かったのかも、という気持ちももちろんありますw


(続く)

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