八十六.『さらば』とは何か再び(宇宙船ホワイトドワーフ号)

 もちろん、SFであり戦記であるという面での、完全新作劇場版にふさわしいスケールアップも図られました。

 第一作ではその長さの割に少なかった戦闘シーンも、こちらではてんこ盛りに。地球の新艦隊も登場して艦隊戦を繰り広げ、波動砲も撃ちまくり(それはそれでどうよというのはありますが)。

 音楽も、ロックやポップス味の強かった第一作から、クラシック中心の荘厳な音楽に。

 そしてもちろん、白色彗星という存在。

 豊田有恒氏の著書によると、氏が提案したのは、『白色矮星を牽引して武器とする敵』だったそうですが、それがいつの間にか白色彗星という『よく分からないもの』になっていたという事です。

 その過程においては、先代西崎Pの存在が大きいようです。


 確かに科学的には『よく分からないもの』ではあります。だいたい高速中性子ガスと言っている時点で、白色矮星ではなく中性子星パルサーです(しかもパルサーとクエーサーは別物)。

 しかし興行という意味では、この転換は大きかったと思います。あのパイプオルガンの音色と共に迫ってくる、白い彗星。これが白色矮星だったらどうでしょう。

 白色彗星のインパクトが、敵としての存在感が、大ヒットの一因だった事はまちがいないでしょう。


(続く)

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