八十四.『さらば』とは何か再び(世の中銭や!)

 ヤマトには、アメリカの存在が常に付きまとうのは仕方ありません。『永遠に』でのデザリアムの地球占領軍。『3』での没ネタ、ゼニー合衆国(ゴーマン大統領w)そして復活編のSUS(スペースUnitedStates?)に至るまで。

 復活編のSUSとなると、もう露骨にアメリカなのですが、『さらば』『2』でのガトランティスにおけるアメリカ要素は、武力の横暴と物質消費文明の象徴、以上の意味があるとは思われません。


 要するに『さらば』とは、SF戦記大河ドラマという第一作の枠組みに若者へのメッセージを……自分の為だけではなく、人の為に犠牲を払う事も大事だと思わないか? というメッセージを乗せた物語、ではなかったでしょうか。

 ただ、それを宇宙戦艦ヤマトという船、物語のフォーマットで描いた事で、この時代の大人たちから(もちろん一部の子供にも)、軍国主義や特攻礼賛、太平洋戦争のリベンジ物、などと批判されるのも、まったくあらぬ疑いとは言い切れないものになってしまった気がします。


 実際、先代西崎Pがそういう意図を持っていなかったかは、何とも言えません。復活編は脚本を石原慎太郎氏に依頼していますし。

 復活編では、満州事変から太平洋戦争への流れと、イラク戦争が招いた世界的反米の機運を重ねて、横暴なアメリカが日本をいじめるが、世界の心ある国々が離反する様なお話になったのですから。


 そういえば第一期ヤマトと復活編の間には、文字通りの太平洋戦争リベンジものである仮想戦記の大ブームが起こり、スペースオペラならぬアースオペラとの別称も奉られたりしたのでしたが、主役メカで頻繁に登場するものの一つは、戦艦大和でした。


(続く)。

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