八十三.『さらば』とは何か再び(星条旗よ永遠なれ)

 そもそも。

 戦争について、それが架空のものであっても、太平洋戦争を、アメリカを意識せざるを得ない、それはこの作り手の世代にとっては、当然だったでしょう。

 戦争の終わりがある種の自由への解放だったとしても、目の前で人の死を見、家族を失った日本人にとって。

 真っ赤な焼け野原の地球は、敗戦直前の日本の暑い夏を。空母艦載機と遊星爆弾の爆撃を主にするガミラスは、ナチスドイツよりも米軍を思わせます。


 そしてそれだけでなく、この頃の日本にも米国への親近感とないまぜとなった反感がうねっていました。

 第一作の放送時期は、ベトナム戦争の終盤。ベトナムの民を巻き添えに、あるいはベトコン(ゲリラ)の味方と見なして殺害する米軍の姿、北ベトナムを爆撃する米軍のB-52爆撃機の映像が日本のテレビなどでも報道されていました。

 そのB-52は、米国から返還されたばかりの沖縄から発進していました。そんな米国の態度と、日本政府の対米追従への不満を抱く人は、政治姿勢の左右を問わず、強弱は人それぞれながらもありました。


 なので『さらば』と『2』において、最後を飾る(筈だった)敵が、より一層アメリカ的な、巨大武力の横暴、大量消費文明、物質文明の行き着いた姿として描かれるのは、今思えば当然だったのでしょう。

 そしてアメリカの下で平和を謳歌する日本への違和感が、地球への不満として映し出されるのも。


(続く)

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