七十八.『さらば』とは何か再び(明日のない星と知っても)
かつては、『さらば』での体当たりラストに松本御大が反対したと聞き、こういう現代日本観は西崎先代によるものだと思っていました。
御大の『零士のメカゾーン』で、桜花特攻を戦場マンガシリーズにて描いた(後にアニメ化された『音速雷撃隊』と思われます)事を後悔していると書かれたのを読み、彼が特攻作戦について痛切な思いをいだいていると知ったせいもあります。
あの頃の私にとって、戦争の苦しみの後に(敗北の屈辱はあっても)平和と自由な日々の訪れを歓迎した子供たちは、大人になった今も現代の日本を全面肯定していると思っていました。
でも、必ずしもそうではなかった。
『さらば』や『2』の後にキャプテンハーロックのアニメを見、原作マンガも買ったのだから、松本御大もそうではないのだと気づいてしかるべきでした。ハーロックの地球も大概ひどいし、それが現代(あの時代)の日本と重ねられている事も分かっていたのですから。
御大に、戦前への回帰をよしとする心情があったとも思えないのです。氏もまた、戦時中に少年時代を送り、戦後の日本で自由を謳歌した世代でもありますから。
ただ、終戦を受けて御大やその世代が思い描いた未来と、私が生まれ育った昭和後半は、同じでは無かったのでしょう。
(続く)
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