好きなものを、共有したかった頃

好きなものを、共有したかった頃。

みんなにじゃなくて、あの子だけに。

好きな曲を何かしらのテーマをもとに集めて、CDに焼いた。

そして今ではほとんど使わなくなったワードを使って表紙を作った。

題名もちゃんと考えて、印刷してケースに合うサイズにカットして。

好きな曲を共有して、話の種になったらいいな。

ちゃんと歌詞を読み込んで、自分なりに解釈して、伝えられないかな。

そんなことを考えていたんだろうか。

あの子は律儀に返事をくれた。

内容はもちろんだけど、

あの子の想いが、文字が、自分の手元にあることに幸せを感じた。

途中からは返事目当てで作っていたのかもしれない。

書いてといえば手紙の一通や二通書いてくれたのかもしれない。

でもそんなことは言えなかった。

そんな勇気は、当時の僕にはこれっぽっちもなかった。

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