そんな中、僕には秘密があった

そんな中、僕には秘密があった。

手元にある箱の中に。

みんなと、世界と繋がるこの箱で、僕も誰かと繋がっていた。

もっと簡単にやり取りができるメッセージツールではなく、メールを使って。

通知が来た時のLEDの点滅が、待ち遠しかった。

青い光が合図。

緑や赤は外れ。

当時その子とやりとりできる男子は僕だけだった。

本当か嘘かはわからないけど、本当なんだとしたらなんと誇らしいことか。

特別感というか、優越感というか、そんな感情に満たされていた。

みんなとランニングして、話をして、休憩の合間にメールを確認する。

すぐ返信がこないあの感じ、読んでくれてるのかわからないあの感じ。

内容は覚えてないけれど、小説の中みたいな話をしていた記憶がある。

誰が誰を好きだとか話してる中、僕はその子に想いを寄せていた。

秘密の思い出。

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