第81話 闘いが始まったようだよね
夜がやってきた
夜になる頃には避難民は3000を超えていた
三つ目族2500人に砂漠の種族であるミーア族500人程である、ミーア族は半人型、尻尾があり背が低い、砂漠に穴を掘り生活する種族、三つ目族とは共生関係にあり畑の害虫駆除を受け持つ、その害虫が食料だったりする。
前世界でいうところのミーアキャットの擬人化みたいな種族だな、食性も同じだ、集団行動をとり女性がボスになるというのも同じである。
子供を産むのはボスの女性だけで多くの夫を持つ、他の女性はボスの子供を育てる。
オスは一定期間育つと巣立ち、他の群れの逆ハーレムに参加する、ボスが死ねば他の女が後を継ぐ、集団が大きくなれば複数の群れに分裂し1つの集団は20人ほどで暮らす種族で、農業を営む三つ目族の村々に害虫駆除でよく交流しているそうだ。
体が小さいので防衛能力は弱く、他の種族の庇護を受けないと生きていけないらしい、どうしても避難できない群れは深く穴を掘り隠れるが、グラップラーアントは穴を掘り襲ってくるのでここに避難してきたという事である。
闘う力は弱いが目がいい小さな虫すら見つけるその目は夜目も利く、土の魔法で作った簡易城壁の上に達荒野を見渡している。
無数の星空が空を覆う、天の川がある、天の川があるという事はここは銀河の中の星という事だ、前世界とは星座がまるっきし違う、地球ではないという事でもある。
俺はそんな事を考えていた、この星のどこかに太陽がまぎれているのか・・・そこには地球があるのか・・この世界に来て星空を見るといつも考える。そもそもここが天の川銀河なのかもわからない・・・
この世界には月が二つある、ただ大きさは前世界の半分ほどの大きさの月だ、大きな星といっても過言ではないな・・・
この二つの月が干渉しあっているのか、潮の干満の差は地球より小さい、海が大荒れになる事も少ない、星の自転速度などは地球と変わらないだろう、1日の長さはほぼ同じだ。
公転周期は368日、地球より3日多いがほぼ同じ、季節もある、ただ、この星の赤道付近にあるグラスが熱帯ではなく温暖な気候、北部のクーマ王国は寒い地域だったが、地球ほど地域による寒暖の差は少ない、さまざまな要因が関与しているのだろうが、デスアーク地域と魔界の入り口がある地域は日が当たる時間が少ないと聞く、つまりそのあたりが極になるのか?そうなると、グラスさんが残した地図も見方が変わるな・・・
これから起こる闘いと全く関係ない事を考えながら夜空を眺めていた。
!
魔力を感じた
東方に膨大な魔力・・集団の魔力だ・・・来たか・・・・
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斥候に出ていたペガサス騎士のオーロルは見た、西の山が無数に赤く光る。
オーロルは光の魔石を使い合図を送る、魔石照明弾である
しかしそれは、羽アリ達にオーロルの存在を知らしめる行為でもあった
「くそ!沢山来やがった!」
オーロルはペガサスに足で合図を送り、その場から去ろうとする、しかしあっという間に無数の羽蟻がオーロルを取り囲んだ、果敢にオーロルはその長剣で羽蟻を切り落とす、しかしペガサスの羽は羽アリ達に噛まれオーロルは大地に落ちて行くのであった、大地からは無数の穴が空き、そこから大地を埋め尽くすアリ達が出ている、オーロルが最後に見た光景であった。
****
斥候隊のガムサが西の山に偵察に行ったオーロルの出す光を確認した、すぐさま足の速いペガサス騎士10名は避難地に知らせに走る、しかしオーロルが帰ってこない、代わりに向かってきたのは無数の羽蟻であった。
「くそ!羽蟻だ・・・こんな数の羽蟻みた事ねえ・・」
「全員構え!すぐさま撃て!」
斥候隊はそれぞれ魔法攻撃を開始する、羽アリは飛ぶ能力が低い、風の魔法で風を起こし羽アリの速度を弱める、そこに火の魔法が無数に羽蟻を襲う、何匹かの羽蟻は地に落ちる
前方から来る羽アリはそれで抑える事が出来た、しかし10分もすれば下から、上から、右から、左から羽蟻達が向かってくる
「ダメだ!退却しろ!ここは俺が残る」
「隊長を残して退却など!」
「ばかやろう!俺達は斥候が任務だ!一人でも生き延び伝えろ!無駄死にさせるな!」
ガムサは怒鳴る
「隊長!・・・くそ!」
隊員達は避難地に飛び去る
「このクソアリども!オメエ達の獲物はここだ!」
羽アリ達が一斉にガムサに襲い掛かる
バゴーン・・・・
大きな爆発が起きた、ガムサが使った魔道具で爆発が起きたのである
その爆発により数十匹の羽蟻が大地に落ちて行く
「くそ!・・・奴ら・・想像以上に早い・・・羽アリはこんな早くなかったはずだ・・」
その爆発を見ながら斥候隊の副隊長エバンは悔し涙を流しながら叫ぶ
ガムサの自爆で一瞬ん羽アリの足は止まったが再び羽蟻達はエバン達を追う
******
「西の方向で照明魔法弾を確認した!」
東の方を向いていたミーア族の男が叫んだ、その照明は小さな点でしかなかったが目のいいミーア族はそれを見逃さなかった
「その周りに無数の虫・・羽アリだ!」
ミーア族の目はそれすらも判別した
照明弾はやがて斥候の照明弾連鎖により段々大きな光になって避難所に近づく
「斥候を呼び戻せ、照明弾を撃て!」
ザナトラは叫んだ
避難所から赤色の照明弾が撃たれた
「爆発を確認した!・・・無数の虫が一緒に落ちて行く10人くらいのペガサスがこっちに来ている」
ミーア族の男は遠くの一点を見ながら報告する
見張り役としてのミーア族は非常に優秀である・・・グラスにも欲しいな・・・『金太郎丸』の見張りとしても・・・
「チュ~!朝チュか?」
チュウ吉が照明弾に吃驚したようだ、
斥候に出ていたペガサス騎士が続々と戻ってくる、
こちらの兵力は ペガサス騎士600 オリオン兵400 グラスからの20人ほど 三つ目族義勇兵800
対するグラップラーアントは数え切れない、魔力反応的には5万位だろうか・・・東側には精鋭を集める
グラップラーアントは壁などは簡単によじ登るので安全な方角などは無い。
やはり圧倒的に人数不足だな・・・
ドドドドド
大地が揺らぐ轟音・・西の方向に無数の赤いくらい光、グラップラーアントの目だ
完全魔物化している魔物は目が赤く光る傾向が多い、
壁を簡単によじ登ってくるアリに対して簡易的な壁はあまり意味がない
闘うなら壁の前だ、壁の上からは魔法使いや弓兵が支援攻撃を行う、だが全ての壁の前に兵を置くのは難しい。
アリの攻撃を集中させる場所を作らないといけない。そこに精鋭を置いて他は壁の上からの支援攻撃が望ましいが、
まず第一弾として築いたのは掘だ、堀の内側には火の魔法で焼を入れて水がたまるように作った、なにせ乾いた大地だ水を入れても直に大地に吸収されてしまう。
欲を言えば四方に作りたかったが、それだけで魔力が枯渇しちまう・・・
そして火の壁だむしろこっちが重要な壁だ軽油を染み込ませた布を四方に起き火を付ける、ガソリンと違い軽油は直には燃え尽きない、2・3時間持ってくれればいいだろう
ただし、わざとグラップラーアントが通れる道は作ってある、そこで戦う、収納魔法の中にはかなりの量の軽油が収納されているのでそのほとんどを使うはめになった。
東側は一番大きく壁の無い面を作っている、ありの攻撃が集中するようにだ!ここに精鋭を集める。
使節団の中でも力のある、ハムラ、トシイエ、俺とシャルロット、ユキナリ、シンシアとガーナちゃん、そして現れてくれたブーさん師匠『金太郎丸』から連れてきたガクザン・ヘルア・キンビもここに配置だ、オリオンからはエルディンガー率いるオリオン地上部隊が配置される。
壁の上を守るのは 俊太・カエデ・イロハ・『金太郎丸』のドラン、エジ
左の壁の通路を守るのはケンタウロス・ミュイミュイにゲンプファー率いるオリオン地上部隊
右の壁はレーベンブロー率いるペガサス騎士とブロイベルグ率いるオリオン部隊
後方はシーナペイン
上空はザナトラが率いるペガサス騎士団
壁の内側や連絡係として三つ目族義勇兵にミーア族の男達が担う。
「来た!羽アリだ!」
ブーンと心に不安を募らせる音を響かせながら羽ありの大群がこの避難砦を襲う
ザナトラ
「風の魔法隊!風を起こせ奴らを近づかせるな!魔法攻撃できる者は奴らに攻撃しろ!地上部隊!上空ばかりに気を取られるな!地上の蟻にも気をつけろ」
風の魔法隊が風を起こし羽ありに浴びせる、飛ぶのが下手な羽ありはその場で何匹かが仲間同士でぶつかったりする、そこを襲う魔法攻撃、次々と羽ありは地上に落ちる
「どれ!俺も手伝ってやるか」
俺は風の魔法を駆使して竜巻を作り出す
「な!竜巻だと!」
ザナトラはその魔法に驚愕しているようだ・・それほどの魔法なのか?グラスの鉱山じゃ何度か行っていたが・・・確かに魔力は使うけどな・・・
竜巻に巻き込まれた羽アリ達は、自らの歯が仲間達を切り刻み、自らの爪が仲間達を切り裂く状態となった、竜巻の中で何体かは光となり消え魔石に変わる、その魔石もまた凶器となって羽アリを襲う。
しかし恐ろしいのは地上に落ちた羽アリは今度は大きなアリとして避難砦に襲い掛かってくる
「アリ達が来るぞ!」
地上のアリは水を回避する、火も回避する、やはりその辺はアリだ!思惑通り通路を通ってくる
「げすいな・・・虫はきらいですよ・・せめて可愛い格好にしてほしいですね」
エルディンガー率いるオリオン族に元羽アリ達はすぐさま討伐される
そろそろ本体も来るころだろう・・上空の羽アリはザナトラに任せよう
「ザナトラ!羽アリは任せるぞ!」
「おう!ペガサス騎兵の力を見せてやる」
ザナトラはアルテミスの槍を新たに現れた羽アリの群れに向ける
アルテミスの槍からは雷がほど走り、羽アリを襲う、羽アリは次々と地上に落ちる
ほしいな・・・あれ・・・魔力使わないジャン・・ずるいな・・
「父さん、アリの本隊が来るよ!」
壁の上から俊太が叫ぶ
「弓隊!構え! 撃て~」
三つ目族の弓隊が一斉に弓を放つ、そういえばソノフの村にも多くの矢が落ちていた・・しかし弓矢であのアリの装甲を破れるのか・・・
俺の心配をよそにその矢は次々とアリ刺さり刺さると炎をあげて燃え上がる、魔矢と呼ばれる物である、本で見たが始めてみた・・・
しかしアリも1個の矢ぐらいでは死なない
アリの本隊の先頭が西の通路に差し掛かろうとしていた
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