第62話 賑やかな食卓は歓迎だよね
『あきづき型』は未だに港の飾り状態である
何を隠そう・・・燃料が無いのである・・・0だ
「これじゃ動かないな・・・・」
さて『あきづき型』はガスタービンエンジン、要はジェットエンジンだ航空機の場合はジェット燃料が必要だが、船舶の場合は軽油が必要になる。
この世界には石油が存在していない。
これは過程がある
有機物が分解圧縮されて石油が出来るのなら、この世界の有機物は分解されて魔力となる。
そうなると、化石燃料という物は存在しなくなる。
軽油を作るという手段もあるだろう・・・しかしこの辺の油の違いはエンジンを傷める要因になる、ハバの樹液を生成すれば近い物が作れるかもしれないが、ハバの固形物がエンジンに残れば間違いなくエンジンが故障するだろう・・・
精製技術もまだそこまで高くない。
軽油をポチるという手段もあるがドラム缶に軽油を入れてここから港に何往復・・・気が遠くなる作業だ。
そこで考えた・・・石油タンク・・・コンビナート構想である・・・
石油タンクを見る
ポチれる・・・なんでもポチれるな本当に
一つのタンクが80m以上ある、なるべく港側に召喚したいが出来るのだろうか・・・
ただ今までの召喚で、手元にほしい物は手元に現れ、外にほしい物は外に現れる、加えて『あきづき型』は海に現れた・・・
中に入れる軽油の再現は現在不可能だが、タンク自体は再現出来るかもしれない・・
挑戦してみよう・・・
まずは用地確保だ、港の側は既に開発されているので北側の岩礁体に新たな港を作る
土魔法使いを総動員して、海底を深くし掘った岩を砕き防波堤にする
十分な大きさを確保したら港に停泊している『あきづき型』を水魔法で誘導する、海人族、リザードと水魔法が得意な種族に協力を依頼した。
ハバの接着剤で固めた石を整地して港の形を作る
ハバの接着剤に火山灰、貝粉、砂利を混ぜるとコンクリート以上に硬くなる、前世界の技術とこの世界の物質の融合そざいである、まあ命名はコンクリだけどね・・・ちょっと材料が違うけど・・
鉄筋を入れて強度をさらに上げてその土台は出来あがっている。
着々とグラス軍港が完成しつつある。
*******************
モモの収穫が本格化している、ほっておくとすぐに落ちてしまう、桃園は甘い香りに包まれる
「ああ。いい香り・・・・本当に桃はいい香りね」
ジェニファーとシャルとで桃の収穫をする。
「パァパ、モオモ、食べたい」
メグミも果敢にお手伝いだ。
「いま剝いてあげるよー待っててねメグちゃん~」
桃はすぐに籠一杯になる。
シャルロット
「いい匂いがしますねこの果物は本当に」
「ああ桃は俺の元いた世界の国でも特別でな、物語があったくらいだ」
シャルロット
「どんな物語ですか?」
ジェニファー
「私も聞いた事がない、教えて!」
メグミ
「パアパ、メグも聞きたい!」
「うん!お爺さんは山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯しにいってな、大きな桃が川から、どんぶらこ、どんぶらこって流れてくるんだ・・・・・」
その時空間転移の穴が開いた
「着いたっチュウ!桃園チュウ」
え?いきなりチュウ吉が現れた、という事は・・・
ジーフだチュウ吉を使っての帰還は予め打ち合わせしていた通りだ、メグミは突然現れた母親に戸惑う。
「ジ・・ジーフ?」
「あ!キンタロウさんお久しぶりです、桃を分けていただけますか?」
「あ!ああ」
籠一杯の桃をジーフに渡す。
ジーフ
「こんなに!きっとモモ族は喜ぶでしょう・・さ!チュウ吉ちゃん戻りましょう!」
チュウ吉
「まかせろっチュウ」
チュウ吉は再び転移の穴を掘り消えていく
ジーフ
「キンタロウさん、もうすぐで終わりますので、また」
そう言って、ジーフも転移の穴に消えていく
「ちょっと、ジーフ!」
行っちゃった・・・・メグミ・・さっきまでの喜びの顔が・・泣き顔に変わりつつある・・
「いま、マァマがいたような・・・マァマ・・・ワーンマァマ」
「おおメグちゃん・・・もうすぐですからね・・もうすぐですよ~」
ジェニファーもメグミをあやす・・・ジーフ・・・ひどいよ・・
***********************************
家に戻りメグミを構う・・こういう時は『それいけ!ウグイスパンマン』のDVDを見せる、泣き顔のメグミもだんだんとテレビに夢中だ。
ありがとうウグイスパンマン!
この幼少の頃からDVDを見せる事で、メグミは俺の前世界の言葉も理解しつつある。バイリンガルだなメグミ・・・
俊太の時は、とても手のかからない俊太は・・・普通に育ててしまった・・・夜泣きすらめったにしなかったからな・・
ただ、いろんな物を観察する俊太に比べ、メグミは泣き虫だ、いやこれが普通なのだろう。
子供向けDVDを見せる・・・俊太にも見せるべきだったな・・・俊太は今になって、俺が召喚した教科書関連を猛勉強している、
文字の違いにやはり戸惑っているようだ・・・俊太の能力は発明・・・俊太にこそ必要だっただろう・・・
その時外が騒がしい・・・
うん?ジーフだ・・・
玄関が開いた
「ただ今戻りました・・・ジーフです」
メグミも振り返る、すぐにジーフの元に駆け寄る
「マァマ~」
メグミを抱きしめるジーフ
「キンタロウ様・・ただ今戻りました・・・ジーフ様・・薬草は薬草小屋に運んで置きますね」
「ああ、お帰りイロハちゃんお疲れ様」
俺はイロハにそう言葉をかけるのが精いっぱいだ・・・・
俺もジーフの元に歩みよる・・・メグミとジーフを優しく抱きしめる。
「おかえり・ジーフ」
ジーフは嬉しそうな顔で
「ただいま・・です」
と顔を赤らめた・・・・ジーフに言っておかないといけないことなど吹っ飛んでしまった・・・
しかしそこはジェニファーが言ってくれた
「ジーフ!チュウ吉で帰れるなら・・何回か、帰らないとだめよ・・メグちゃん寂しそうだったんだから」
「ごめんなさい・・・メグ・・・ごめんね」
ジーフはメグミを再び抱きしめた
「ライジョーブ・・メグはつよいコ・・マァマ!ナカナイデ」
「もぅ・・・おかえりジーフ・・」
ジェニファーもジーフを抱きしめた
「奥様!お帰りなさいませ」
シャルもジーフの元に行く
「キンタロウさん、私達も戻りますね・・・家族っていいですね」
ラミーが答える・・・
忘れてた・・・
「我を!我を撫でるのを、忘れているワン!」
ポチ~
ポチは、お腹を見せて撫でるのを要求する。思う存分にモフモフしてやる
「玄関の外に他の犬達も待っているワン!あいつらも撫でるワン!」
外ではレミーが犬達を撫でている、俺が出た瞬間、駆け寄りお腹を見せる
みんなモフモフしてやった
「犬達には助けてもらったよ!こいつら凄かった!」
レミーも一緒に撫でる、ポチももっと撫でろとぺろぺろしてくる。
「君らも夕飯食べて行かないか?」
ラミー
「で!でも家族水入らずにお邪魔するのは・・」
レミー
「やった~・・シュンの家のご飯うめえから嬉しい」
ラミー
「こら!レミー!少しは遠慮しなさい」
「ははは、いいよいいよ、お気遣いなく」
「あ!ありがとうございます」
ラミーは赤くなりながら答える。
今夜は賑やかになりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます