第56話 ジャーニーの精鋭に任せとけばいいよね

隠れの穴の中には村人がひしめき合っている。


男達は無傷な者がほとんどいない、中には腕のない者、足が無い者もいる

虫の息の物も多数いた。


ムルセブ

「長老・・・魔女様に助けていただきました・・・」


「おお!魔女様か・・・どうか村を救ってくださらぬか・・」



ジーフ

「ご挨拶は後ほど、治療を行いましょう、イロハ、ラミー、レミー怪我している皆さんを治療いたしましょう」


イロハ

「はい」


レミー

「よっしゃ みんな待ってろよ」


ラミー

「癒しの水は作れませんが・・綺麗な水でしたら少し作れます」


ジーフが作り出した薬の数々を病人に飲ませ、怪我をしている者には治療も行う。


とりわけ、細胞増殖の魔法が使えるジーフは動きっぱなしである。


ジーフ

「さすがに、この足では再生は無理です・・・申し訳ありません・・力不足です・・・」


ジーフは足を失った者の足の結着を試みるが、失った方の足は既に壊死していた、患者に謝っている・


「大丈夫です、魔女様ありがとうございます・・・」

足を失った、コタの戦士は気丈にふるまう。


ラミー

「ジーフ様・・癒しの水がなくなりそうです」


ジーフ

「コカトリスの胆を使い、薬を作ります、火を使いますが・・・」


ムルセブ

「煙は・・・危ない・・コカトリスを呼んでしまう」


その時、無風の筈の隠れの穴に風が吹く


「かまわん、作ってくれ」

テクムセが現れた、テクムセは一人の美女と1人の戦士を連れている


美女

「ジーフ!会いたかった~」


ジーフ

「エリカ姉さん・・・お久しぶりです」


エリカ

「も~!大きくなって・・お母さんは元気?」


ジーフ

「はい、グラスで魔法を教えています、もう元気ですよ」



エリカ、シーナペインの娘で現在はジャーニーの庇護を受ける魔女、ジーフとは従姉妹に当たる

ただし年齢は150歳を超える、ジーフがシーナの元で修業を開始した時には既にテクムセの庇護に入っていた。シーナが薬草採集でジャーニーに訪れた時には二人を案内する存在であった。


テクムセ

「エリカ・・挨拶はそれくらいで皆の手当をしてくれ。」


ジーフ

「相変わらず、お早い行動で感謝いたします、テクムセ様」


テクムセ

「ふっ、まあ準備はしていたからな!で、この有様はやはり、コカトリスか?」


ムルセブ

「恐れながら・・コカトリスが結束して襲ってきました・・・我らの力では、この穴に逃げるしか方法がございませんでした。」


テクムセ

「よい!よく生き残ってくれた、共に戦おうぞ!」


ジーフ

「そしてコカトリスの結束・・・バジリスクでございますか?」


テクムセ

「テンの村が全滅した・・テンは多くの戦士を抱える部族だコカトリスぐらいでは全滅はしない・・

バジリスクが現れたという事だろう」


*「親父!他の連中も来たようだ!」


ジーフ達は穴を出る


外には剛犬族の戦士40名ほど


*「流石に狼どもは早いな」


**「ふん!闘いの場にいち早く着くのが我らの役目!まだ遅いと思うぞ、ガラグラ殿」


ガラグラ

「親父は風に乗れるからな、比較する方が酷ってもんだろ、ジオン」


剛犬のジオン テクムセの息子ガラグラ 見るだけでこの二人が、桁外れに強いのはひしひしと伝わってくる。


ジオン

「ふん!きたきた!でけえ鶏だ!」


ギョエ~


複数のコカトリスが、雄たけびを上げながらこの場所に向かってくる。


ジオン

「オメ~等!剛犬の強さを見せてやれ」


「おおお!」

剛犬族はそれぞれ小チームに分かれコカトリスに当る


その手並みは鮮やかであった、犬型の物がコカトリスを翻弄し人型が止めを刺す

犬型は速さを持ち、人型は力を持つ、その変化を自由自在に行う種族なのだ。


またたく間に3匹のコカトリスの動きが止まり崩れ落ちる


ガラグラ

「俺の分も取っておいてくれよな!」

ガラグラは自分の身の丈の倍はある大剣を持ち、凄まじいスピードで、コカトリスの群れに突っ込む

そのひと振りでコカトリスは真っ二つに切り裂かれる、


ギョエ~ ギュア~


コカトリス達の断末魔がこだまする。


ジオン

「獲物を残してほしいのこっちのセリフだ!」


ジオンも負けじとものすごい速さでコカトリスに突っ込む、ジオンも身の丈の倍はあるランスを使い

コカトリスを串刺しにしていく

「いい焼き鳥が出来そうだ!」


10匹いたコカトリスはすべて倒れて行った。


ジオン

「おいおい切りがねえな!」


ジオンが見上げた方向にコカトリスの新手、今度は100は超えている大群だ それが3つ合計300ほどの大群である。


テクムセがゆっくり穴から出てくる


「ライガが来たようだな」


猛烈な土煙を上げてこちらに来る、物体


ゴゥア~100体のコカトリスの群れに単体で突っ込むその物体の正体は


火の精獣、テクムセの守護聖獣サラマンダーのライガである


それは圧倒的であった、ライガが吐く炎によってコカトリスは黒い灰になる・

一回火を吐くと数匹のコカトリスが灰に変わる、コカトリスは毒を吐くがライガには全く効かなかった



左の群れにはライガが突っ込み、右の群れには再び多くの馬に乗った集団が現れる。


オロロロロロ


奇妙な掛け声と共に現れたのは、テクムセの直属軍『ナバポ族』である


ナバポの戦士は死を恐れない、投げ縄でコカトリスを縛り上げ馬で動きを封じる

弓で確実にダメージを与える、他に魔法攻撃隊もいてバランスがいい、確実に右側のコカトリスは数を減らす。


テクムセ

「中央は我らが相手しよう」


ワン!


ジーフ

「あら?ポチちゃんどうしたの?」


ワン!


ジーフ

「あらそうですか、テクムセ様ポチちゃんが暴れたいそうです、よろしいですか?」


テクムセ

「そうか!それも一興だな」


ジーフ

「ポチちゃん大丈夫みたいよ」


ワン!


ポチは見る見る姿を変える、三つ首のケルベロスに

ケルベロスとなったポチはそれぞれの頭から、地獄の業火を吐く。

その威力の前にコカトリスは骨すら残らずに消えていく


ポチは俺の方が強いんだぜと言わんばかりに、ライガの方を見る


ライガも負けじと周りのコカトリスを焼き尽くす・・


テクムセ

「これだけ組織だったコカトリスは初めてだな・・・それほどかバジリスク・・」


勝つのは当然とばかりに見ていたテクムセだが、発した言葉は何処か気合いを入れなおしている所がある


荒野は多くの土煙が上がっていたが中央の奥からもう一団


コカトリスの大群と、さらに大きな動く物体が確認できた


ガラグラ

「でけ~な・・・あれがバジリスクか・・・」


土煙の物体の正体は魔物バジリスク・・・その禍々しさ、大きさ。どれも桁外れである。






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