第54話 ポチ・・すごすぎだよね
テント村についた、剛犬族の村は原始的である。
簡素なテントに、簡素な炊事場
発展したグラスに慣れてしまうと不便に思ってしまうかもしれない。
狼とはいえ、犬は犬、偉そうにしている若者にポチは何か我慢をしている様子であった。
*「ここで待て、犬たちは外だ、グレイドックは危険だからな檻に入ってもらう」
ポチがうなりだす・・・・
*「なんだ?この犬は・・犬の分際で狼に牙をむけるか?」
ジーフはため息をもらす
「ふ~・・・剛犬族も能力が落ちたのでしょうか?・・・ポチちゃんの力を見れないとは・・・」
キロテ
「これ!やめないか・・・愚か者が・・・聖獣様とお見受けいたします・・・何分未熟な者なのでお許しねがいたい・・」
*「キロテ様!犬に膝まづくなど・・・我らは狼ですぞ・・・」
キロテ
「ばかもんが~!」
キロテは大声で怒鳴る、その声は大地を揺るがすほどの大声で会った。
キロテ
「お前には…わからぬのか?この聖獣様が牙をむけば、この村の狼は皆葬られる事になることを」
ジーフ
「すみません、ポチちゃんは力を隠している状態です。わが夫により躾されていますので・・しかしもしポチちゃんを怒らせたら・・私にも止められません・・・」
キロテ
「聖獣様・・・愚かな若者たちにその姿を・・見せつけてあげていただきたい、そのほうが狼の社会は、納得いたします」
ポチはジーフを見る
ジーフはうなづいた
途端にポチから禍々しいオーラがにじみ出る。
見た目はポチのままだが
「我は聖獣ケルベロス改め、守護者キンタロウの守護聖獣ポチである、我を敬うがいい ワン!」
最後のワン!がかわいい・・・
しかし、効果は絶大であった、すべての剛犬族が、ポチに向かいお腹を出す、犬族の服従の動作だ。
男も女も子供も人型から狼の姿に戻りお腹を向けている
イロハ
「なにこれ・・・少しかわいいかも・・・」
レミー
「ポチちゃん・・すごいね・・・」
ポチ
「よい!今はキンタロウの妻、ジーフの護衛にこの場所に来ている、お主たちを支配しに来たわけではない・・客人として、我らをもてなせ・・・ワン!」
やはり最後のワンがかわいい
しかし犬語を理解しているのは剛犬族と念話ができるジーフだけである
イロハやラミーレミーにはポチが
「ワン!ワン。ワワン、ワン!ワン ワン・・・ワンワン」
としか聞こえない。
キロテが人型に戻る
「失礼しました・・・強き聖獣様だとは思っていましたが・・まさかケルベロス様であったとは・・・」
「よい!他国と争いは好まぬのはわが主の言葉、我も無闇に争いはせぬ・・・ワン!」
キロテ
「ありがたきお言葉・・感謝いたします」
ジーフ
「ではテクムセ様を、ここでお待ちしていればいいのですね」
キロテ
「おお、ジーフすまなかった、いま合図の遠吠えをおこなって居る、テクムセ様に届けば来てくれるだろう」
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テントの中には女四人にポチ
外には4匹のグレイドックが見張っている
狼と犬、基本的には変わらない、グレイドックは犬と呼ばれているが、別に狼といっても間違いはない
実際グレイドックは犬より狼のほうがしっくりくるだろう、戦闘能力も剛犬族と顕色はない。
ただ剛犬族は人型になれる、グレイドックはなれない、その違いはある。
グレイドックは世界中に出没するが、魔物のグレイドックはさほど強い魔物とは言えない、しかしグラスの番犬グレイドックは生まれた時から、人間と戦闘訓練を行っていて、ポチによる訓練を受けた、エリートグレイドックは単体であっても、ものすごく強くなっている、そんなエリートが4匹が今回の旅に同行している。
*「ほぅ、グレイドックを飼いならすか・・・しかもそこいらのグレイドックではないな、ボスクラスの力をそれぞれ持っている」
テントの外から声が聞こえる
グレイドックがうなる
*「ほぅ・・私の気を当ててもひるまないか・・・見どころのある犬だ」
キロテ
「ジーフ・・・テクムセ様じゃ・・・入ってよろしいかの?」
ジーフ
「ポチちゃんワンちゃんたちを静まらせて・・」
「ワン!」
ポチが吠えた
そうすると、グレイドックたちが伏せをする
男がテントに入る・・・
*「久しぶりだな、ジーフ・・大きくなった、それに美しい」
ジーフ
「お久しぶりです、テクムセ様」
テクムセ
「グラスの守護者と結ばれたと聞いた・・・その聖獣・・・守護者の聖獣か?」
ジーフ
「はい・・ポチといいます、テクムセ様のライガちゃんにも負けないかもしれませんよ」
テクムセ
「ははは・ライガより上かもしれないか・・・連れてくればよかったな」
ジーフ
「いえいえ・・・火の聖獣サラマンダーと地獄の番犬ケルベロスが争ったら・・この辺りは不毛の大地となってしまいます・・・」
テクムセ
「ははは、その聖獣はケルベロスか・・・うーむ・・・それもそうだな」
ポチはじ~っとテクムセを見ている
テクムセ
「して、そこの者共は?」
ジーフ
「はい兎族は私の護衛として・そしてこの子は、私の弟子です名をイロハと申します」
テクムセ
「ふ!弟子はいい・・・しかしノブナガの臭いがする・・・」
ジーフ
「だって、ノブナガ様の娘ですから」
イロハは冷や汗をながす
{私の事・・いっていいの・・・?}
テクムセ
「やはりか・・・なぜ俺に合わせる?」
ジーフ
「イロハちゃんがキンタロウさんの義娘になる可能性があるので、ご紹介も兼ねましてね」
イロハ
「え?」
イロハは理解に少し時間を置き、顔を赤らめる
テクムセ
「すると、グラスとオワリはより深く同盟を結ぶということか?」
ジーフ
「可能性はありますわ」
テクムセ
「まだわからぬと申すか?」
ジーフ
「何分、キンタロウ様の長男のシュンタ君は、オモテになるので、ふふふ」
テクムセ
「・・そうか・・まあよい、お主はこの娘を気に入っているということだな」
ジーフ
「いいえ、シュンくんが決めればいいことです、私はそれを応援します。二人を選んでも3人を選んでもこの世界では珍しくはないでしょ?」
テクムセ
「確かにな・・・ははは、それもそうだ」
ジーフ
「テクムセ様も、叔母様はじめ、まだ幼い私にまで手を出そうとしたではないですか・・」
テクムセ
「それを言うな・・ゴホンゴホン・・ジーフ・・何しに来たんだ?ただのあいさつではないだろう」
ジーフ
「薬草の採取です、マンドラゴラを少し取らせていただければと」
テクムセ
「マンドラゴラか・・・・いいだろう、ただし行く先々で集落もあろう、そこで薬を作ってほしい。
それと、マンドラゴラ、我らの分も収穫し、我らに収めよ、それが条件だ」
ジーフ
「それと・・・グラスと交易をしていただきたいのですが・・・ジャーニーには貴重な薬草が多くございます、それにジャーニーにとってもグラスとの交易は損はないと思いますよ」
テクムセ
「ふん!かってにしろ、しかしあまり他人をジャーニーに入れたくはない、グラスの寄港はパンマのみとする、それが条件だ」
ジーフ
「わかりました」
テクムセ
「それとな、ジャーニーだけではない、この大陸の魔物が活発化している、マンドラゴラの採集も難しくなっている、気を付けるがよい、キメラやコカトリスといった、ボスクラスが現れる、何かの意図があるのだろう・・・・」
ジーフ
「承知いたしました、心強い者たちがいますので、大丈夫でしょう」
テクムセ
「うむ! では 達者でな!」
テクムセは風と共に姿が消えた、風に乗り移動する能力
風さえあれば、どこにでも行ける能力だ・・・・
ラミー
「き・・消えた・・・・」
レミー
「どうやったの今の・・・」
ジーフ
「あれがテクムセ様の能力の一つよ・・・敵にしてはいけない人よ」
こうしてジャーニーにおける薬草採取の許可が下りたのであった。
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