第53話 狼男も犬なんだよね

ベロニカからの交易船がジャーニーの港町、パンマにつく。


ジーフ

「付きましたね、皆さんまいりましょう。」


ポチを先頭に、犬に乗った美女4人は目立っていた、

パンマの街で食料を買い込む。

パンマの街を出るとすぐに荒野が広がっている。


イロハ

「馬よりも早いですわ・・・」

イロハは上手にグレイドックに乗りながら言う


ラミー

「いや!早すぎるよ・・・」


レミー

「振り落とされそうだ・・・」


ラミーとレミーはグレイドックにしがみ付く。


ジーフ

「あら、意識をシンクロさせてあげればいいのですよ」

ジーフはさらっと、常人が理解できないことを言う


とはいえ犬たちの移動速度は速い。

徐々にラミーとレミーも、犬の背中に慣れ始めた


ラミー

「監視されているみたいですけど・・・・」


ジーフ

「そうみたいですね、やっと現れてくれました。」


ジーフは遠い岩山を見上げる。


ジーフ

「襲ってくる気配はないようですね、今夜はここで交代で眠りましょう」


レミー

「寝てる所、襲われたら、やだな・・・」


岩陰に火を炊く


金太郎印の着火棒だ、火の属性がなくても火を簡単に起こせる魔道具。

金太郎はチャッカマンと名付けたが、商品化された名前は着火棒となった。


レミー

「灌木があったので、薪ように切り刻んだよ!へへん」


ジーフ

「ありがとう!レミー」


続いて取り出したのは、金太郎印のクーラーボックス

二重の箱にすることで、中の空気が温まりにくい、上部に魔石を嵌める穴があり

そこに、水の魔力を込めた魔石を嵌めれば、中が冷える仕組みだ。


ラミー

「しかし、キンタロウさんは凄いですね、いろいろな魔道具を作ります」


ジーフ

「ほんと!ジャーニーでの薬草採集に、水の魔法使いを連れて行かなくても済むんですもの」


ワン!ワン


ポチがジーフに話しかける、ジーフは意識を集中する


「どうやら私たちを監視しているのは、犬の方達みたいですわね」


ジーフがクーラーボックスから豚肉を取り出し、串にさし始める


イロハ

「魔物ではなさそうですけど・・・・」


豚肉は塩と胡椒で味付けされ、うまそうな臭いを出しながら、いい感じに焼けていく。


グ~、ギュルギュル・・・


レミー

「わあ!お腹が鳴っちゃった・・・」


ジーフ

「ふふふ、いい感じに焼けたからレミーから食べていいわよ」


レミー

「わあ、いっただきま~す あ~む」


レミーは豚肉をほおばる、


レミー

「うめ~・・」


続いてラミーも頬張る

ラミー

「美味しい!」


イロハ

「ああ!美味しい!」


ジーフ

「ふふふ、よかった」


焚火の外は闇である、距離を保ちながら、こちらを伺う者の気配。


ジーフ

「明日は速くなりそうです、交代で寝ましょう」


それぞれ交代で、眠りにつく。

夜の間は、それらは動くことはなかった。


ジーフ

「ポチちゃん、大声で呼んでもらえるかしら?」


ワン!


ポチはうなずく様に吠え顔を空に向ける


ワオーーーーン


グレイドック達も続く


ワオーーーーン


しばらくすると10人ほどの人影があった。


人型だ、顔は犬と人間を混ぜた感じだが、体は人間、しっぽがある


その中で一人の老人が近づく

「神聖なる我が剛犬族の地になにようか?ベロニカの商人でもないじゃろう」


ジーフ

「申し遅れました、魔女のジーフバインと申します。テクムセ様に薬草採取の許可を頂きたく

お待ちしていました」


*「ジーフバイン?・・・あのジーフか?」


ジーフ

「はい、キロテ様お久しぶりです」


キロテ

「はは、大きくなったな、それに美しくなった・・・うんうん

シーナは?シーナは来てないのか?」


ジーフ

「私も魔女となりまして、シーナの元を出ていますので」


キロテ

「そうかそうか・やはりジーフも魔女になったか・・・うんうんシーナ同様に美しい魔女じゃ」


ジーフ

「ありがとうございます」


*「キロテ様・・・魔女ジーフバインとと言ったら・・深闇のジーフとして有名ですよ・・それに、グラスの守護者の妻になったと聞いています、グラスはオワリと同盟にある国、油断なされては成りませぬ」

若い犬族がキロテに耳打ちします


キロテ

「なんと、そうであったか、うんうん、伴侶を得たかジーフ、その男はどんな男だ?」


ジーフ

「はい、あのグラスさんにどことなく似ています、それに壁がありません、今やグラスは多種族の島です」


キロテ

「テクムセのような男じゃな・・うんうんいい男を捕まえたな」


ジーフ

「はい、これ以上なく」


キロテ

「よろしい、テクムセを呼ぼう、この者たちを村へ案内いたせ」


*「ついてまいれ」


人型だった豪犬族の若者はオオカミになりこちらを振り返った、既にキロテの姿はなかった


レミー

「あれ?あのおじいさんは?」


*「おいていくぞ!早くしろ!」


豪犬族の男はオオカミの状態で走り出す


慌ててグレイドックに飛び乗り出発する。


そして1時間くらいでテントがひしめく村に着いた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る