第44話 バルサンは強力だよね

ドシン!ドシン!


突き進むガーナちゃんを、地下4階の魔物は止める事はできない。


地下4階は、カナブンの領域、木の樹液や花の蜜を吸う角なしの甲虫たちの領域だ

カブトムシの劣化版といっても過言はないだろう

攻撃スタイルは体当たりのみだが、小さいものは弾丸のように、大きいものはロケットパンチのように飛んでくる。


強者揃いの鉱山衆が、初見で失敗した階数と聞いていたけど。

突き進むガーナちゃんを止める事はできないようだ。


そして、あっという間にボスが現れた、前回のコオロギが大きかったので覚悟はしたが。

ボスのカナブン、モホカナブンは人間大であった


「なんだ!その象は?、我はカナブン王モホカナブン、神妙に勝負・・・」


パオーン!ドンガラガッシャン


「おい!口上くらい・・」


パオーン!ガシャン ドシン


「かなし・・」


パオーン!!ドシン!ドシン!パオーン

哀れなカナブン王はガーナちゃんによって葬り去られた。

現れた宝箱を開けると・・・


金塊 500gくらいかな?純度はどれくらいだろう

この世界でも金の価値は高い、1g1000グラスほどで取引されている純金なら50万グラスくらいになる


ラミー

「これは当たりだな!」


レミー

「これまでで、回収も成功しているが、やはり10階の記憶ポイントまでは行きたいな」


現れた階段を下りる。

地下5階は蝶の間、ここは迷宮なのに明るい、そしていたるところに花が咲いている


「フフフフ」


!?


いま誰か横切った?


「フフフフ」

!?


いや確実にいる。

僕とシンシアは気がついているようだ。


シンシア

「何か?いるよ・・・でも・・よくわからない」


パオーン!


ガーナちゃんもうななく・・・光の属性を持つ僕とシンシアとガーナちゃんが反応している

僕たちはガーナちゃんから降り警戒をする


一面に蝶が乱舞し始めた・・・


イロハ

「わ~きれい・・・なに?これ」


ミュイミュイ

「お~すごいな~これ!」


カエデ

「みんな気を確かに!おかしい!」


ユキナリがふらふらと歩き出す

ラミーとレミーもそれに続く・・・夢遊病のようである

イロハもカエデもフラフラしていた

ジュリとムュイはなんともなっていない

変化が見られる者に共通しているのは闇の属性。


カエデ

「イケナイ・・・・・ワタシダッテ・・・・デモダメ・・・・」


イロハ

「ナゼ・・・オトウサマ・・・ナゼ・コロスノデスカ?・・・ナゼ・・」


シンシア

「なんなの?みんな、どうしちゃったのよ!」


真っ先に動いたのは、レミー先輩であった

レミーは『光のゴリラ3号』に襲い掛かる!

レミーの突然の襲撃に3号は足を切られ、動きが鈍くなり続いて動いたラミーにより止めをさされた。


シンシアが苦しみだす、召喚獣がやられると召喚獣と同レベルの魔力が減る、


カエデ

「ワタシヲ・・・コロシテ・・クダサイ・・・ノロワレタ・・ワタシヲ・・」


イロハ

「アナタダッタノ・・・アノコ・・コロシタノハ・・・」


イロハがカエデに攻撃を仕掛けようとしている。

ものすごい大きな闇の炎だ・・・あんなのを喰らったら・・カエデでもひとたまりもない。


「シンシア!イロハとカエデの間にガーナちゃんを入れて!」


シンシア

「わかった!」


ガーナチャンはイロハとカエデの間に入り、イロハの闇の炎をもみ消した。

その場でイロハとカエデは気を失う。


ラミーとレミーはジュリとムュイと対峙している

しかしジュリとムュイでは明らかに対応できないようであった


「大丈夫か?」


僕は二人の応援に向かった


ラミーとレミーの攻撃はすさまじかった・・・日ごろ仲間として、戦っていたのでわかってはいたが、その脚力から3次元の攻撃を繰り広げる、力は僕のほうがあるが、ヒットアンドアウェイ戦法をとられると、なかなかに追いつかない。


今まで動かないでいた、ユキナリがやってくる。


「ユキナリ!どっちか対応してくれ!」


しかし、ユキナリは僕に向かって金棒を振り下ろしてきた。

剣でそれを受けたが、5メートルほど吹っ飛ばされてしまった・・・

ラミーとレミーがいっせいに襲い掛かってくる・・・防げないか・・・僕は死を覚悟した。


そのとき!二人を吹き飛ばし、なおかつユキナリの金棒をも跳ね返した強者


ブーさん師匠だ!

ブーさん師匠はシンシアを守っていたのでは?


シンシアのほうを見ると、ガーナちゃんが、シンシアを守っている。


ジュリとムュイはイロハとカエデの治療に走る

ガーナチャンの前にミュイミュイが歩み寄る・・・ミュイミュイも闇の属性が強い・・もしや


やはりミュイミュイもおかしい、ミュイミュイは赤い目でガーナちゃんをにらんでいた石化の攻撃を仕掛けている。

さらに複数の蛇がガーナちゃんを襲う、しかしガーナちゃんには毒の攻撃は効いていないようだ。


石化が始まるガーナちゃんの足、ガーナちゃんは聖なる光でそれを防ぐ、その攻防が繰り広げられている


イロハとカエデを守るジュリとムュイに無数の蝶が襲い掛かる。

水の攻撃で二人を守るジュリとムュイ。


ラミーとレミーとユキナリを相手に、一人戦うブーさん師匠


シンシアはガーナちゃんの上で、魔法を繰り広げ周りの蝶を攻撃する

そしてそれを守るガーナちゃん、それを攻撃するミュイミュイ


動けるのは僕だけだ・・・・


父さんにもらった魔道具を持ち、蝶のが発生している地点に向かう


「フフフフ、光の属性を持つものか・・・可愛い顔をしているねえ」


人型だ!人型の蝶、


「私はバアルバタフライ、精神を操る者、地下5階の守護者、うふふ」


「いろいろやってくれますねバタフライさん」


バアルバタフライ

「あ~ん・・かわいい坊や、食べちゃいたいね・・・でも私は食べれないの・・・悲しいわ」


「それは、ありがたいですよ」


バアルバタフライに剣を突き刺すが、それは幻だった。


バアルバタフライ

「ふふふ!元気がいいわね」


バアルバタフライは羽ばたいた、無数の毛虫が僕にめがけて降ってくる

炎の魔法で毛虫を焼き尽くす、しかし・・焼け死ぬ毛虫から針が無数に襲ってきた。


かゆい、・・・カユイ・・・・・カユイ

針が刺さった場所が、異常にかゆい・・・気が狂いそうにかゆい・・・


バアルバタフライ

「あら、痒そうね・・・・なめてあげようか?フフフ」


あれを使おう・・・

父さんに貰った魔道具・・・

なんて書いてあるか分からない魔道具だが、父さんは言っていた、虫系の魔物には効く筈だと。


水を入れれば作動する、魔法みたいな物・・・風の魔法で、味方に害がないように使え!といっていた


魔道具に水を注ぐ・・・なにも起きない・・・


バアルバタフライ

「何をしているの坊や!そんな隙を見せたら襲いたくなっちゃうじゃないの」


バアルバタフライは鱗粉を僕に向かって振りまく

風の魔法でなんとかはじき返す


その時!父さんの魔道具から煙が黙々と出てきた


ゲホ!ゲホ!ゲ~


その煙は喉に直撃する痛みを伴う、急いで風の魔法で煙のコントロールを行う。


僕は風の属性は強くないので、正直難しい 


バアルバタフライは

キェ~!ゲホ!ギャ~!アアアアアアアアアアア~と煙の中でもがき苦しむ・・


バアルバタフライ

「ナ!ゲエ~!ナナンアアア!ギャ~」

バアルバタフライは満足に叫ぶ事も出来ずに力尽き光へと消えて行った。


周りの蝶も消えた、しかし父さんの魔道具の煙は消えない、、、


周りからゲホ!ゲホ!


シンシア

「シュンタ~何なのよこれ!喉が痛い・・・どんな魔法使ったのよ・・・」


ジュリ

「ヒ~!ゲホ、タスケテ!」


ムュイ

「ア~・・ゲホ・・・お母さん・・助けて・・ゲホ!」


やばい!大惨事だ・・一生懸命煙をコントロールするが、属性が弱いとやはり難しい。


ブーさん師匠が魔道具に歩み寄り魔道具に蓋をした魔道具から煙は出なくなった!

ブーさん師匠は僕に振り返り、親指を立てる


あたりの煙は霧だったようで、供給源がなくなれば数分で消えていった・・・


なんというすごい魔道具だ・・・さすが父さんだ

しかし、ラミーもレミーもイロハもカエデもユキナリもミュイミュイも気絶したままだ

僕たちはここで地上に戻ることを決意した


ちなみに苦労したのにバアルバタフライの宝は、中級魔石2個と外れだった


こうして初めての迷宮探検は地下5階クリアで引き返し・・・

蘇生の間道具を使用することはなかったが、いろいろ考えさせられる物もあった。


毛虫に指された場所はジュリとムュイにより洗い流してもらい直してもらった

毒を吸い出すといって首筋をチューとされてしまった・・首筋でよかった・・

でもよくよく考えたら・・守護魔物の毒は守護魔物を倒した時点で消えているはず


それでも痒いのは体の反応が消えていないだけなので、吸い出す必要はないのでは?・・・

まあ痒かったので、吸ってくれると気持ちよかった・・あまり考えないで置こう。



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