第25話 身近な物ほど大きな可能性があったりするよね
樹脂を溶かす溶剤として、一般的なのはやはりアルコールだろう。
この世界では、蒸留酒はあるがまだ度数は低い。
アルコールの沸点は約80度で、直接火にかけても80度はすぐに超えてしまう。
アルコール度数とハバの木の樹液の乳化点を探す所から始めよう
まずはポチった99%のエチルアルコールだ
これは簡単に乳化した。
しかし、溶け残ったものもある
アルコールを50%でも同様であった、アルコールの純度は低くてもいけそうである。
アルコール度数10%を切ると溶け残るものが多くなってきた。
つまり乳化させるにはアルコール度数は10%程度でよいということだ
これは簡単に再現できる、よってエチルアルコールをポチり10%アルコール水溶液を作り
水溶液の中に樹液を混ぜ、蓋をした。
これを濾しとると溶けない成分が取り出せる。
触った感じはまさしくゴムである、しかし弾力はあるがシナリがない。
そこで火山から採取した硫黄を混ぜ、魔法で温め圧力をかけた、すると柔らかくなりシナリが出てくる。
もう、まごう事なきゴムである。まずはゴムの精製が出来たのだ。
これだけで、目的が達成出来た様なものだ。
次にアルコール水溶液に溶けた成分である、まずは
100度まで温度をあげる
100度ではアルコール分と水分は蒸発し、底にどろっとした液体が出来上がった。
水を弾く液体である、これは・・・ペンキに使えそうだが。
試しに後日、この液体を石に塗ってみると。乾くと膜状になり水をはじいた。
まさにペンキだ、それも水をよく弾く。それに、石だけではなく金属にも木材にも塗れた、万能なペンキだ、黒に近い赤色で樹液の色の大半がこの成分だろう。
この色を抜く事が出来れば、色々な色のペンキが作れるが、これだけでも前世界のコールタール的に使用できる、船の塗装などには向いているだろう。
他に建物にも使える、金属の腐食も防げるので、防具にも使えそうだ。
ハバの樹液から、ゴムとペンキが出来上がった。
まだまだ、この樹液の可能性はありそうだ、
蒸発した液体を冷やし液状化させる、いわゆる蒸留だ。
今度は、アルコールが揮発する80度で湯煎し蒸留した。
すると残った液体を冷やすと二つに分離した
液体の方はほぼ水分だった、もう片方はどろっとしている、アルコールによって水分と入荷していた物質という事になる。空気に触れると硬くなった・・まるで接着剤である。
試しに金属と金属、木材と金属、石材と木材、石材と金属などいろいろ試したが石材にはくっつきにくかったが、木材や金属にはきっちりと接着し、なかなかの強度を持っている。
やはり接着剤だ
これで3つの新素材が出来た
さらに蒸留したアルコールのほうである
これを50度の低温蒸留をする
冷やす温度は10度以下。
そこで蒸留された液体は常温ですぐに気化する液体だった
火をつけてみると爆発的な燃え方をする間違いなく気化したアルコールだけではない。
まるで天然ガスだ、しかし揮発性が強く保存が難しい・・これは早めにプロパン缶の実用が必要だな。
湯煎蒸留自体、前世界でも歴史が浅い技術だが、まあ魔法が使えるこの世界では再現が簡単である。
ハバの木からは
ゴム、ペンキ、接着剤、天然ガスと実に実用的で多様なものが出来上がった
蒸発しなかった液体はアルコール純度が高いアルコール水溶液のようだ
クリス
「いやあ湯煎で蒸留するなんて始めてみたよ、蒸留は直火でやっていたからなあ」
「しかし、これだけいろいろなものが出来るとはね」
クリス
「しかもハバの木なんて浄化されてない土地なら真っ先に生える木だからね、こりゃ~世界に激震が走るよ」
「クリスこれを研究進めてくれるか?」
クリス
「あたりまえじゃないか!こりゃ世紀の大発見だ!俺は今歴史が動いた瞬間に立ち会ってるというわけだ・・震えているよ分かるかい?」
クリスは鳥肌の立った腕を見せる。
他の研究員たちも世紀の大発見に興奮している。
この天然ガスが、液体で保存できるようになれば、ガスの普及だけでなく内燃機関の研究もできるかもしれない。
いや待てよ
アルコールに溶けるのだから液体に閉じ込めることはできる
ならば
クリスにあるものを依頼した
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後日
「言われたとおり作ったよ」
クリスがある装置を作った、本当にノームはこういったものを作るのがうまい。
そこに蒸留ガス入りアルコールを入れて蓋をした
そして蓋の上部の穴からでる気体に火を付ける。
火は付いた、嫌な匂いもしない。
移動式コンロだ、もう少しコンロを改良すれば前世界のコンロになるだろう。
そこでポチったカセットコンロをクリスに渡し
ガス注入口にガスが流れるようにすれば家庭コンロを簡単に作れる。
これもクリスに依頼した
そして可能性のある物は接着剤の液体だろう・・もしかしてさらに精製すればビニール状に出来るかもしれない、そしたらナイロンみたいな伸び縮みする繊維も作れる。
可能性は無限大だ
研究者を増やしたいがやはり人手不足だ 高等教育施設の成功を祈ろう
まさに、ガイアの夜明けが今ここで起きた瞬間であった。
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