第24話 ゴムが燃えると臭いよね

4年目の冬が来た。


鉱山からは希少金属も増えてきた。

そこで俺は、希少金属の中でアルミとニッケル、クロムなどを売らずに取っておいた。


研究所で会議である。

まずはアルミだ、アルミは単体では強度が弱い金属だ、加工がしやすいが。

軽い分鉛のように鉄砲の弾にはできない

剣にすれば簡単に折れてしまう、そんなだから子供のおもちゃに使うか。

錆にくいので、木に巻いて木の強度を上げるために使っていたりしている。


しかし、もし電気線を作るなら銅より伝導率が高い金属で軽い。

また銅やニッケルと合金を作れば鉄よりも固い金属になる。


アルミと銅でジェラルミンになるからね

その説明をする 


クリス

「どうして柔らかい金属と銅で鉄より固くなるんだ銅だって鉄より柔らかいし」


前世界でも、アルミが発見されてからさほど立っていない100年少し前だ。


この世界では、金属として魔物がドロップしてるので、存在はしているが柔らかい金属扱いである

実にもったいない。

しかし腐食しにくいので、硬化にも使われている。

合金にすれば軽くて丈夫なので、さまざまな車両にも使われる優れた金属だ、合金の配合もネットで調べられる・

金属の専門家のノームやドワーフに意見を聞いたほうがいいだろう


「いや、アルミニウムは、はずれ鉄じゃないですよ、これから重要な金属となっていきます

何より加工がしやすい金属です、それに強度が加わればいうことないでしょう」


クリス

「ふーむ、まあいろいろ実験をしてみます。鉄に炭を混ぜると固い鉄が出来ますからね

作ってみないとわからないのが金属の面白いところだ。」


バルガー(ドワーフ一家の長)

「しかし、アルミはたたくと割れちまうからな」


「確かにアルミは、合金にしても固くなりますが折れたりもします、鍛造より鋳造に向きます」


バルガー

「それなら俺の出番は少ない」


クリス

「それについて、先日面白いものができましてね」


クリスは一個の陶器を出した、そこ銅線をつないだ。

そしてその先に中心に水銀を入れた電球、水銀灯である(実はポチッタものだ)

そして電極にある液体を入れた希釈硫酸である

硫黄と硝石で作った硫酸である


硫黄は火山から、硝石はおしっこを乾燥させて発行させて作るやり方だ。

以前からノームさんにいって研究所で研究していた今回そこから発展してとうとう硫酸の

製造まで成功した


ネットいう教科書があるのでね、硫酸は前世界でも300年前には既に作られている。

そう難しい技術ではない、難しいのは保管方法だ、金属の器はすぐに腐食する、陶器の器で代用するが 陶器にも金属が含まれていると、そのうち腐食してしまうので

高温で焼いて陶磁器にする。


鉛の粉に硫酸を入れれば電池になる

それを水銀灯につけると・・・・


まばゆく光る


バルガー

「なんじゃこれはそういえば金さんの家にもあったな」


「はいあれはあそこだけでしか使えないですが この鉛電池は充電も出来ますので

これを発展させれば町の明かりにも使えます」


バルガー

「これじゃあ、夜も昼になるな」


「いやいやそこまでは明るくなりません、しかし使う金属が毒のある金属ですので

金属に詳しい方に手伝ってほしいのです」


クリス

「僕だけじゃ不安でね」


「アルミの線や銅の線が必要になります、ぜひ協力をお願いしたい」


バルガー

「よしわかった、わしらも手伝うぞ」


思ったより早く、電気の再現が出来そうだ、早く一般普及させるためにも高等教育、科学者の育成を行いたいネット知識チートがあるので、この島の科学技術はこの世界1になる。

そんな野望が出来た。


後はゴム管みたいなものか、いい樹脂があればいいが。


「柔らかい樹脂ってないですかね?」


クリス

「樹脂?ああ、木の血だね・・それならハバの木かな」


バルガー

「ハバか・・確かに血が固まると柔らかいものになるな、しかもよく燃える」


「ハバの木ってどこにあります」


クリス

「そんなの、魔物が出る森ならどこにもあるよ、燃やせばすぐなくなるしね」


バルガー

「燃やしても根を焼き切らないと1週間で大木だ、開拓の敵と呼ばれる木だよ」


クリス

「でも、よく燃えるけど、臭いから薪には使えないというね・・」


バルガー

「確かにな・・しかしハバは燃えると黒い煙で臭いからな」


クリス

「あの煙が無ければねえ、いいんだけど」


二人の会話でなんとなくわかった、開拓を手伝うとでかい木にぶち当たる


火の魔法使いが、焼くが恐ろしく臭い煙、ゴムが焼けた匂いがする木だ・・・


そうかゴムが焼けた匂い・・つまり樹脂はゴムに近いのか・・・・なぜ今まで気が付かなかったのか


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ハバの木、これは魔樹である


魔力を帯びた材木である。

木は柔らかく材木には不向きであるが、よく燃える。


しかし燃やすと臭いので薪にも向かない、木から血が出てその血はすぐに固まる。

固まると弾力を持ち、温めないと取れない。厄介な血である。


グラスさんの諸国漫遊記の説明だ

木の血、いわゆる樹液だろう・・木の樹液というのは様々な可能性を持つ

前世界であってもそれは同じだ


セロハンテープのセロハンも樹脂である

ゴムも樹脂だ、ガムだって樹脂である

しかも、樹脂の精製はアルコールでできるのが大半である。


樹脂を利用すれば、ビニールやプラスチックなども作れる。前世界ではほぼ石油で作られていたが

これらは、もともと樹脂から作られたものを石油で作りなおしたものだ。


化学式的には石油に近い、炭化水素が主要物質になるが不純物が多いので

ガソリンの様に使うのは厳しいだろう。

しかし用途は大きい、樹脂は水分が抜けると固まるのでインクの材料や接着剤などに使える。

漆など塗料の材料にもなり、金属に塗れば腐食防止になる。


特にゴムはでかい、タイヤや緩衝材としての役割だ。

タイヤのある車輪と無い車輪では、雲泥の差になる、ゴムの木をポチる手もあるが

とりあえずこの世界の樹脂を調べよう。


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でかい木だ・・・


クリス

「じゃあ血を出させるよ、ハバの血だけでいいんだろ?」


クリスがハバの木に杭を刺した。

すると血しぶきを上げるように赤い樹液が出始めた


クリス

「うっと、あぶねえ!かかるとこだった」

ハバの血は1リットルくらい出たら、少なくなりその開いた穴を自らの樹液で塞ぎ固まる


続いて器にその樹液を噴出させた。

勢いよく吹き出て、あっという間に器が樹液でいっぱいになる。

器の樹液はゆっくりと固まる


クリス

「へ~器に入れると固まるの遅いね」

恐らく空気に触れると固まる性質か、揮発性の強い何かが蒸発している匂いだ。

まるでガソリンのような・・試しに火を近づけたらよく燃えた。


しかしあまり黒い煙は出ない

つまりガスだけ燃やせば、黒い煙は出ないこって事だ、天然ガスじゃんこれ!


固まった樹液を、持って帰り研究所に行く。

まず揮発性ガスの可能性を説いた、天然ガス・・もしこれを液化できれば物凄い使い道が出来る

そして固まった樹脂、まるでゴムだ・・これに硫黄など混ぜればゴムになる可能性はある・・


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後日、自転車をポチって研究所に持ってきた

研究員達は、なんじゃこれ?みたいな顔したが、乗り方を教えて皆、感動していた。


鉄やアルミも手に入るので、ほぼ再現が出来る

後はタイヤだ。


さっそく解体した、ドワーフは自転車部分の研究。ノームはタイヤの研究だ。


クリスは天然ガスの液化の研究

俺はハバの樹脂溶解実験だ。


大きな科学革命が起きそうな予感がする

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