第21話 名前を覚えてもらう順番は大事だよね

4年目の春、俊太も1歳を超えた。

ちょこちょこ、言葉も話す。そうなると世の父親は「パパ」という言葉を待っている、俺もだ。


まず最初は「ママ」これは致し方ない、ジェニファーは聖母だ、俺も毎晩甘えたくなる存在だ。

次に呼ばれたのは「シンシア」、く・・シンシアに負けた・・・


次あたりだろうと、毎日待っていたら。

ポチが吠えると

「ポチ」と話した・・・・ポチにも負けた

ポチはしっぽを振り振りして俊太を見ている

「なんだ、我を読んだか? 撫でてみるか、舐めてやろうか?」

うれしそうだ・・・そりゃうれしいだろうさ・・・・


そして数日後・・・


「チュ~キチー」


なんだって?・・

チュウ吉はシンシアに抱かれながら映画を見ている。

もう一度俺の心を砕くかのように


「チュ~キチ~」と俊太は笑いながらしゃべる


「おりょ?僕を呼ましたっちゅー? これはうれしいっチュー」

殺意がわいた・・・


ちゅう吉に負けた・・・・・


ジェニファー

「あらあら?パパはまだなのにねー、このところおうちに帰るの遅いからね~」


そうなのである、言葉を覚える大事な時に炭鉱で家に帰ってくる頃はもう夜である。

俺のサイクルは朝早くに起き、眠ってる俊太にチューをする。

少し勉強をして、ポチを連れて散歩がてら、見回りをする。


午後は、ポチを家に戻し他の犬に乗って炭鉱に行く、ポチは小さいからね。

炭鉱の進み具合を確認しながら、狩りも手伝う。まあ見守るのが大半だけど・・

ストーンゴーレムが出ると、何人か死にそうになるから、それを守る意味もある。


ハムラと戦力の増強について話し合い、リリーに長く生きるうえでの相談をする。

子育て相談とかね。

戻りながら周囲の狩りをする、暗くなると魔物も増え、いい修行になるのだ。


そして家に戻り、暖かい風呂に入ってmおいしいシジェニファーの夜飯を食べる。

俊太は既に寝ている。お休みのチューをする。

そして今度は俺がジェニファーに甘える。


そんな日々だ

確かに、俊太に会う時間が少ない・・・これじゃよく遊びに来ているララやミミにも負けてしまうミラだってそうだ・・・

覚えやすそうな名前だ・・・ザック町長も覚えやすそうだ・・・ライバルは沢山いる


その日から 炭鉱に行く数は減らした パパと呼ばれる日まで


さて、今年も桜は満開だ、種を植えた実生のほうもいくつか芽が出て成長している、光魔法を当てて光合成を活発化させる。

実生の実は、この島の将来がかかっているからね。


必要なら植え替えたりして、育ちが悪い芽はつまんだりしている。


果樹園での散歩は、俺たち家族のお気に入りのコースだ、ここでジェニファーにプロポーズした特別な場所でもある。


だから当時のままだ。


その日も満開の桜を堪能しながら、家族で果樹園を散歩する。

その時初めて言ってくれた


「パァパ」と・・・・泣いたね、うん 泣いた


俊太もヨチヨチだが少し歩ける時期、パパもその成長がうれしい。

パパもね、パパだからさ、パパって響きはいい・・パパだよパパ


ポチ

「パパ、パパ言ってないで俺と遊ぶワン!」


ポチとちゅう吉は念話が出来てしまう、だから話すことができる聖獣だしね。

島民には、やはりこの二匹は特別な存在として認識されている。


ちゅう吉も、神出鬼没に現れては害虫を食べていく、畑の守り神みたいな扱いを受けている。

ちゅう吉のくせに・・・


ポチは犬同士が喧嘩をすればすぐに現れ仲裁する。そして討伐者が危険になると現れて討伐者を助ける犬神様だ。


まあ中身は地獄の番犬ケルベロスだしね。


とはいえ聖獣二匹とも、この島で活躍している、元グレイドックの犬たちも大きいので乗り物となっている。特に防衛者はフレイドックとのコンビで活躍している。開拓地も広がっている。


防衛者が中心となり、グレイドックに乗った、犬のお巡りさん構想も発動している。

大きくなりつつある、この島の治安を維持してくれるだろう。


作物としては梅干しが出来た

しかし島民の口には合わないようだ、まあ仕方ない。

ただ鬼族と海人属は、梅干しがお気に入りだ、ホビットも年配者は梅干を気に入っている。

ホビットが気に入ってくれれば、商品化もできるだろう。


梅酒はドワーフのお気に入りだ、蒸留技術の優れたドワーフが梅酒を気に入ってくれる

これは、島の名物になりそうだ。

口当たりの甘さはドワーフに限らず、人間の女性にも人気がある。


そして田んぼも整備した、2年目に多くのコメができ新たな穀物として島に定着している。


炭鉱衆は討伐隊が100人を超えて大所帯になっている

実力者ぞろいだ、毎日、命の危険のある炭鉱討伐をしているので

実力が上がるのはうなづける。

炭鉱集落も発展し炭鉱地域として町の一部となった。


グラスも成長して村→町となり、3年目も、次々と移住者がやってくる。

特に炭鉱が出来たニュースから炭鉱希望者が多いようだ、それほど炭鉱の給料はいいのだ。


炭鉱からも時折ダイヤ、エメラルド、ルビーなどの宝石類がドロップされ、その都度ニュースになる。

炭鉱の魔物も『呪いの宝石袋』というほぼ宝石をドロップする魔物が出ることも多くなったようだ。

また日ごとに炭鉱から現れる魔物が増えているので、炭鉱討伐者の募集も閉めきっていない。魔物が頭打ちになれば締切、人が減れば募集する形になるだろう。


味噌と醤油も最初の樽が出来上がった

俺としては刺身を食いたいが、島民は生で魚を食べるなんて!と及び腰だ・・・

しかし海人族も数名住み着いたことで、魚を生でもおいしく食べる処理を知っていた。

その海人族も醤油と出会い感動していた、これほど生魚がおいしくなる調味料はないと・・・


醤油は海人族に流行っているそうだ。 

焼き物の味付けにもいいし万能調味料だよね醤油は


味噌は、グラス港で水揚げされた、魚のスープの味付けに使うと美味い。もともと島国なのですぐに浸透した。

魚介出汁の味噌汁はうまいよね~


この醤油と味噌のおかげもあり、グラスの町は飯が旨いという評判もでき、さっそくベロニカからホテル商売人が移住してきた。


観光業も出来てきたのである。

砂浜もあるしにぎわってくれるとありがたい、この世界にも水着はあるのだろうか? 島民は男はフンドシ女は白い布で海水浴をする

今度他の国の事情も探ってみよう


砂浜に水着はつき物だ・・目の保養になる。

シンシアも海で遊びたいが水着がないから断念しているらしい、水着をポチってくれと言われているが

シンシアだけ水着だと目立ってしまうのではないか?


まあ再現も可能だから露木商店で販売してみようか


いい先駆者になるかもしれない。

でも俺がもし夏場に死んだら・・水着を着ていた女子たちの水着がいっぺんに消える・・・・

そんなご褒美を、男たちに与えるのは忍びないので、再現が可能そうな物をいくつかポチり。

グラス研究所で作ってもらって販売しよう。


グラス研究所は、俺がポチッた物を商品化する研究所だ。

紙の生産も出来始め、いよいよ高等教育施設の建設と共に、ここを先に作った。


日用品から農具、漁業道具、工具、武器、防具など。

魔道具製作所の一つとして世界でも少し知られる施設となっている。


トウモロコシの生産も、1年目に大成功して今年はその種から実生で育てる。

甘いトウモロコシだ、トウモロコシは、実もそうだが中の芯も枝も葉も飼料として使える、素晴らしい作物だ。


他ニュースだと

ミラが結婚した


防衛兵長のバーグさんと

バーグさんはベロニカで傭兵をして、この島に戻ってきてから防衛兵長としてこの島を守ってきた人だ。

俺が初日にボライドボアがでて、戦った時に「死ぬ気か!」と叫んだ人だ


ブライドボアを留めるだけの力がある人だ、厳格な人で女を口説くところなんか見たことなかった、年齢も40を超えて、この世界なら孫すらいる年齢だ。


独り身でいたのにはわけがある

ベロニカで傭兵をしていた時に、村が襲われた時、妻と共に救助しに行ったが、妻はその時になくなってしまったそうだ・・・

子供はいない、それ以来妻に操を立てていたのだろうか・・・


剣術指南のミラは子供に弱い魔物と戦わせる為の指導員と、いざという時に守るための教員としてよく魔物の沸く地域に赴いていた。

まあ学校の中でも才能のある子を選抜していたので、弱い魔物なら問題ないが時折強いのが出るのでバーグさんに防衛兵の派遣もお願いしていたようだ。それならとバーグさんがそれに答えていたようである

そのうちに一緒に剣術指南も行い、そのうちに・・・ってことらしい。

ミラは今年で30歳でこの世界では行き遅れである、厳しい世界だ・・・


女性としては、行き遅れかもしれないが、剣士としては今が盛りであろう。

治癒魔法も使える治癒剣士は、どこの国でも重宝される存在だ、それが教育者としてこの島に来てくれているのだ。

ありがたいことだ・・この二人が結婚するんだ、島を上げて祝福したい。


魔女のジーフバインは相変わらずだ、彼女に告白する男子は100人を超えたらしい・・そのたびに彼女は、俺の妾になるためにこの島に来たといい断るという。

困ったものだ、俺はジェニファーという伴侶もつ幸せなパパだというのに。

そんなジェニファーなのに、ジーフバインと仲がいい、なぜなのか・・・

しまいには

「ジーフを第2夫人に向かえないの?」とまで聞いてくる


しかしシンシアは拒否反応を持っている

前世界では父親の浮気で離婚をしている影響もあるだろう当然だ・・・


しかし価値観の違いだろうか?町長のザックさんも3人の奥さんがいる・・・

どうしても魔物の襲撃や戦争などで、男の数のほうが少なこの世界では、重婚は珍しくないようだ。

ただ、夫は妻を平等に愛するそれが重婚の掟、だからジーフバインの俺に対する情熱は冷めないのであろう・・

ジーフに振られた男たちから、ジーフを幸せにしてやってくれと頼まれてしまう、困ったものだ・・・


まず伴侶の問題だ、守護者の伴侶は一人だが、肉体関係を他の異性と持つのはできる、伴侶としての能力が与えられるのは1人までということだ。

もしこの伴侶を交代してしまうと、能力を与えられていた伴侶は消滅してしまう・・恐ろしい事だ。

しかし、要は妾状態の伴侶は、能力の付与もない寿命も変わらないし、子供に能力もつかない普通の子として生まれる。

これは長年の守護者の生態で、明らかになっている事らしい。だから現在の守護者も多くの妻を持つものがいる。

オワリのノブナガは100人を超える妻がいるそうだ・・絶倫め!


とはいえ能力の与えられない伴侶は年を取る・年を取って子供が産めなくなった妾はお払い箱のようになってしまう・・・

そんな話も聞いたことがある、要は守護者次第だが、年を取らない守護者と年を取る妾では末永い幸せはないのだろう。

そう簡単に妾など取れない、俺の性格としてもね。


しかしである

最近知ってしまったが、人間が魔女になると年を取らなくなる。

ジークは魔女になって、まだ2年目で魔女になった18のまま体の成長は止まったそうだ。

からだは魔女になった時の状態である、これが魔女が女性のあこがれの職業の理由だそうだ、永遠の若さ

女性なら憧れても不思議はない。

魔女を目指す女子は処女のまま魔女を志す、処女でなくなると魔女の資格がなくなる。


魔女の資格を経ると闇の精霊と契りを結び力を得る、そして処女の呪縛から解き放たれる。

永遠の若さと美しさが備わる存在になる。 

ジーフバインはソロモンの悪魔と契りを結んだ魔女として、一躍有名になった

生い立ちも不幸で、闇の魔力が、普通の魔女の数倍あるそうだ、だから彼女を娶ろうとした有力者は

多く存在したらしい。あのベロニカさんもその一人らしい。


しかし、彼女は老人であった、グラスさん以外には仕えないとして、すべての話を断って

この場所に来たらしい・・グラスさんも罪なお人だ・・・


しかし、魔女の呪いか?次から次えと男どもが彼女に群がってくる、特に夜は闇の力が増して

存在だけで男を誘惑する存在になる、ゆえに国によっては魔女は危険な存在として扱われる、魔女を狩る魔女狩りなどもあるらしい。


だから有名な魔女は対外強きものの庇護を受ける、この世界では守護者がそれにあたる。

彼女は魔女が多く存在した闇の神を信仰する国の出身だが、現在その国は存在しない。

イノケ教国によって、滅ぼされた国らしい。


ジェニファーにとっては、魔女が主人につけば、それだけ主人を守る存在が増えるので、歓迎だしジーフは年齢も近いし、話も合うので(俺のノロケ話や俺をたたえる話らしい)

知らない女を第2夫人に据えるならジーフにしてね、という

それに俺の暴走も、毎晩じゃジェニファーも疲れてしまうから・・と恥ずかしそうに俺に言う・・・


ごめん夜の俺は野獣だから・・・・


シンシアはジェニファーがそこまで言うなら、と何も言わなくなった

ただ魔女の力には興味があるらしい、体を成長させる魔法が闇の魔法にはある、それに興味を持っている。

うん、シンシアはそういう子だ・・・


そんな宙ぶらりんな状態がジーフバインの状態だ・・・われながら罪な男だ・・・・

既にジーフバインを第2夫人になるのを拒むのは俺だけということだ


おれの価値観だろう 複数の奥さんハーレムはそりゃ男はうれしいが・・・しかしなあ



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