第14話 隠し事はばれちゃうよね

ベロニカ

「ところでツユキ殿」


「はい」


ベロニカ

「まだ私に隠している事がありそうだが・・・・」


「え!」


ベロニカ

「あなたが私に敵意が無いのは分かっていますが、私があなたを害する事も出来るということを認識していただけると、ありがたいですな」


この人に隠し事は通じないか・・・


「分かりました、私を信じて私の家に一人で来ていただけますか?」


*「貴様!誰に向かってそのような」


ベロニカ

「ガイル下がりなさい」


ガイル

「しかし父上」


べロニカ

「ではこうしましょう、一応私の護衛がガイルの仕事です、彼の能力は力です、諜報には向かない。

彼をあなたの家の前で立たせます、それでいいかな」


「感謝します」


ベロニカ

「では、いきましょう」


-------


シンシア

「キンタローが帰ってきた、あ!キンタローだけじゃない、何か探る様な意思を感じる」

シンシアは透明化して隠れた


「ただいま」


ジェニファー

「おかえりなさい」


「あ、お客様がいるんだ」


ベロニカ

「こんにちは奥さん、ベロニカ商会のベロニカです、美しい奥さんをもらいましたな、ツユキ殿

しかし・・この事では無いようですな」


俺は、一冊の本、そう、グラスさんの手帳をベロニカさんに見せた。


ベロニカ

「なるほど・・グラスさんがジャン殿と守護者救出に向かったのは知っていましたが

救出に成功していたのは初めて知りました、さすがグラスさんだ」


「シンシア・・この人は大丈夫だから」


シンシアは俺の後ろに隠れながら姿を現す。


それを守るように、ぶ~さん師匠も身構えている


ベロニカ

「この子がロロの交代者ですか」


「いえ、フランシス・ロロの交代者ではなさそうです、この子の前に既に何人かの守護者は・・・」


ベロニカ

「そうですね・・そう書いてあります」


「私はグラスさんの意思に基づいて保護しようと思います」


ベロニカ

「しかし、同じ地域に守護者が二人というのは・・この子の能力は?」


「他国の脅威になる事は無いでしょう、シンシア、ベロニカさんに能力を教えてもいいか?」


シンシアはうなづく


シンシアの能力を1つずつ説明した


ベロニカ

「なるほど逃げるには最適な能力だ」


「私の能力も説明します」


俺の能力の説明もした


しかしこの時代に再現できないものはむやみに持ってこないそしてその理由も説明した


ベロニカ

「面白い人だ、自分が死んでからの事も考えるとは、まさにグラスさんの後任ですな。

私も能力を説明しましょう・・グラスさんにも教えていませんでした


人を見抜く力

嘘を見抜く力

脱出する力

10分先を見る力、これは5分で一区切りの能力で、これで2つ分です

病気にならない力

価値ある物を見極める力

忘れない力

子供が裏切らない力

絶対安全な場所


この10の能力をもちます」



「商売人に向いていますね」


ベロニカ

「ははは 私は商人ですからね」


ベロニカは考え込む


ベロニカ

「この子の事は任せましょう、この子の能力では守護者としては、他国の脅威にはなりません。

私の目で見ても、安全な子だ」


「ありがとうございます」


ベロニカ

「しかし、面白い人だ・・・前世界からの召喚能力か・・・

使い方次第であなたの力は、この世界を終わらす力がある」


「はぁ」


ベロニカ

「前世界の武器を沢山召喚すれば、簡単に最強の軍隊が作れてしまうが・・・・弱点もある

あなたが死ねば前世界から召喚された武器は消える。武器に頼り切った軍は瞬く間に弱くなります」


「そうなんですね、消えてしまうのですね」


ベロニカ

「過去にいましてね前世界から馬を召喚できた守護者が・・オワリのオダ・ノブナガの少し前、現在のジョーニーの守護者が名前はたしか・・・シンゲンとか言いましたかな。

彼は馬を召喚し、ものすごい数の騎馬軍団を作り上げました、彼の軍は瞬く間に周辺の国を統合しましたが、オダ・ノブナガの前に彼は敗れました。

彼が死ぬと馬のほとんどが消滅、彼の召喚した馬はすべてが牡でしたので馬の子供はいなかったのもあるのでしょう。

結果としてオダ・ノブナガの力が増大しました。

オダ・ノブナガはこの世界に鉄砲をもたらしました。

私は、オダ・ノブナガが鉄砲を召喚していると考えていました。

彼を殺せば鉄砲は消え、あの地域は安全になるのでは?と思いました。

しかし違った・・彼は鉄砲を召喚したのではなく、鉄砲鍛冶を召喚していた、彼の召喚した鉄砲鍛冶はこの地の人間に鉄砲の作り方を教え、沢山の鉄砲を作っていたのです。

その後も鉄砲を持つ守護者はいましたが、鉄砲を作る産業を起こしているのは彼の国だけです。


彼の国は鉄砲を他国に売る事でまた力をつけています、彼の国の鉄砲は進化をして、常に強い武器となっています。


私は彼を殺すつもりでいましたが、彼はなかなかどうして・・冷酷な人間だが、この世界の意味を知っているようだ・・彼の国は魔王の大陸からも近い、故に国を大きくする必要がある。そして兵を強くする為には絶えず戦っていなくてはいけない、だから彼は戦争をやめない、商売を推奨し、彼の国の民には自由がある、誰もが彼を敬っている。 

殺すつもりで近づきましたら、その必要はないと思いましてね、私も彼を利用させていただいています

彼が現れた時に第六天魔王なんて言ってましたからみんな警戒しましたけどね」


「オダ・ノブナガというのは前世の世界では私のいた国の英雄の一人です」


ベロニカ

「ほぅ、そうでしたか、ツユキ殿と同じ国でしたか、ではシンゲンも?」


「はい、タケダ・シンゲンでしたら間違いなく」


ベロニカ

「そういえば、彼らは知り合いだったような話は聞きますな」


「はいタケダ・シンゲンはオダノブナガと戦っています、しかしタケダ・シンゲンはノブナガとぶつかる前に病気で死にました、彼の息子はオダノブナガによって滅ぼされました」


ベロニカ

「なるほど、守護者は前世の失敗を補う能力を持っている事が多いが、オダノブナガは前世ではあなたの国を統一したのですか?」


「いえ 彼の部下に裏切られ死にました」


ベロニカ

「ふむ 彼の能力が少し分かりましたな」


「というと?」


ベロニカ

「彼は鬼族を配下に置きます、鬼族など配下に置けば爆弾を抱えるような物、しかし鬼族は長い年月、彼には逆らわない」


「支配する力ということですか?」


ベロニカ

「そうですな・・・魔王に殺されれば危険ですが彼の軍隊はこの世界でも最強の軍隊の一つでしょう

魔王もおいそれと彼を殺せないでしょう」


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ベロニカさんとの話は面白かった


子供に与える能力の事も彼は教えてくれた、俺は生まれてくる子供にどんな能力を与えようか・・・

シンゲンの馬は切られても再び現れたそうだ、召喚された動物は死なないのかもしれない。


しかし私が植えた豆は枯れた・・・何か条件があるのかも

召喚したものは基本召喚した時の状態を保つ

これはピンときた、剣だ!壊れない剣、切れ味が落ちない剣、説明が付く


そしてプロパンガスが一年たっても無くならない、ある意味あの缶の処分をどうするか悩んでいたのでこれは助かる。


しかし転生させた者がそれを分解加工すればどうなるのか謎もできた。

これからの課題だろう・・・


ベロニカさんは約束してくれた。

シンシアの秘密の保持

グラス地域の開拓支援 

孤児の保護

そして俺もベロニカ商会への協力を約束した

そしてベロニカさんもベロニカに戻る事となる


滞在は一週間ほどで俺の畑なども見学していた。

またこの世界に牛も羊もいるが山羊は初めてだと教えてくれた。

いろいろこれからの取引を持ちかけられた。

私の召喚した作物を見て彼はにやりにやり笑っていた 商売人の笑いだ。

グラスとベロニカに定期便が再開される事になった。






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