第13話 大人買いはよくないよね

久しぶりに、ベロニカからの商船が来た事で港はにぎわっていた。

商船は大きな帆船でベロニカと書いてある。

一つの船に30人くらいの船員、それが5隻

3隻は軍艦で大砲を積んでいる

海人族と呼ばれる種族が守っているようだ。


初めて人間以外の人の形をした種族を見た、彼らは青い肌をしていて 耳が無い、いや耳の穴はあるが

耳の形状はない、指の間に水かきがある、他は人間と同じようだ。

鎧は堅い鱗でできており、背中に亀の甲羅を背負っている、盾にもなるし軽いらしい。

実際に持ってみると軽い。 

水の中で呼吸をする器官が首元にあり、潜水作業もお手の物

海運業には必要な種族といえよう。


いかにも怖そうであるが話すと面白い種族だ。

グラス島は、海運の補給地でもあるので俺が来る前は、結構商船も立ち寄っていたらしいが

クーマ王国の騒乱で商船はみな待機していたらしい。

グラスからベロニカに、出稼ぎに出ていた人たちや、ベロニカに就職に出てグラスに両親を残していた者たちも今回の船団に乗り込み、久しぶりのグラスに感慨が深かったようだ家族の再会で抱き合うもので

港は人であふれていた。


グラスの若者が、グラスで働いていけるように、いろいろ考えていかないといけないかな。

若い人間がいないということは、それだけグラスの経済も防衛力も下がってしまう。


実際に、ベロニカに兵隊として就職しているものも少なくないと聞いた。


大国ベロニカを守ることはグラスを守る事にもつながるので、グラスさんはさほど規制は

していなかったようだ。

それに、ベロニカで兵隊として働いた男の戦闘力は高くなってグラスに戻ってくる人もいる

一長一短である。


ベロニカさんは町の中を見て回る、すぐに露木商店を見つけた。

新しい店のチェックはかかさないらしい、そして店のオーナーが新しい

守護者であることを聞きつけくまなく商品をチェックする。


といっても今あるのは、畑で採れたトマト、ナスなどの野菜と昨年取って乾燥させた唐辛子

そして、さまざまな種類のウメエ棒、子供が買える値段で販売されている。

お店には子供がたくさんいる。

ツユキ商店には、ガチャガチャもあるそこに俺がポチッた玩具を入れてある。

子供の心を豊かにするために、この世界で再現できないが導入した商品である。


といっても値段は100グラス 銅グラス硬化1枚で回せる。グラスにとってはやや高価であるが

ツユキ商店の横には公園も作りブランコなどの子供が遊べる遊具も置いてある。

この辺は構造が簡単なのでこの世界でも再現可能だ。


だからツユキ商店の周りは小さな子が集まり、その母親も多い、

そして、その母親を狙った他の商店も出来て町の商店街のようになっている。 

この1年でツユキ商店の周りが、大きく成長した場所だといってもいい。

ただ商店街の店舗はまだ、ゴザを敷いただけの簡素なものである。


俺が作ったのは、ツユキ商店と遊び場だけで他は勝手に集まってきた感じだ。


ベロニカさんはツユキ商店の商品に興味津々であった

生で食べておいしいトマト、辛い調味料の唐辛子全部買って行ってしまった。

唐辛子はストック分もすべて売れてしまった・・・大人買いである

まあ、もうすぐ青唐辛子の収穫も始まるので問題はないか。


ウメエ棒も店の商品すべてお買い上げしてしまった

子供たちの分も・・・・明日、またもって来よう、かさばるからめんどくさいのに・・・


-----


村の会議所でベロニカさんと会談を行った

ザックさんはがちがちに緊張しているようだ

ぎろりとベロニカさんが俺をにらむ 品定めされている気分だ

すぐにやさしい笑顔になる


ベロニカ

「ふむ 信頼できそうだ 新しい守護者のツユキ殿 これからも よろしくお願いしますよ

して あの ウメエ棒だが あれはこの世界の物ではないのであろう お主の召喚能力が

あれを呼び出しているというわけか?」


「ええ まあそんなところです・・・」

詳しく言うと絶対にややこしくなるのでここは内緒にしておこう


ベロニカ

「ははは まあ 守護者の能力はお互いに知らないほうがいい時もある

いずれ、これから長い付き合いになるだろうから、そのうちにツユキ殿の能力を

拝見させてもらえる時もあるだろう・・・私も楽しみにしておくよ」


ベロニカさんは豪快に笑っていた

俺の予想だとこの人は人を見る目、特に見られた時の感覚が、なにか魔力の様なものを

感じた、怖い人だ。


グラスさんが予想した商才に関しては、元から持っていた可能性もある。

この人の言うとおり能力は他の守護者に言わないほうがいいというのは

一理ある、シンシアの能力はみんな知ってしまったが

知らないことで警戒し、牽制し合えるのだ。


ベロニカ

「実はね軍を伴ってきたのにはわけがある、私には人を見る目、その人間が自分の敵になるか

味方になるか判断できる能力があるんだ」


あ、あっさり教えてくれた・・・


ベロニカ

「だから君が敵になる存在なら殺すつもりでいた、だからこんな大船団になってしまった」


「そうでしたか・・私は大丈夫だったんですか?」


ベロニカ

「外したことはないんでね、信頼している能力です 

で私が一つ能力明かしたから、ツユキ殿も一つ教えてもらおうかな」


そう来たか・・・・

「では・・・・解析能力があります その物に毒があるか無いかとか」


ベロニカ

「そうか ウメエ棒は秘密か・・・」


「それは一つの能力ではないので」


ベロニカ

「なるほど複数の能力の集合能力か そんな方法もあるんだな それは可能性が

無限大・・・いや面白い、では予想して楽しむよ」


この人は信用出来そうだ・・・しかし

家のこと シンシアのことはまだ伏せておこう。


ベロニカ

「それと、クーマー王国はもう大丈夫でしょう。私も願ったりな守護者が現れてくれました」


「ほ、まあ報告は商会から聞いていますが」


ベロニカ

「そうですね、王は以前は問題があったのですが、今は全く違う王のようですよ

キレイな王になってしまった感じです。私の目でそう判断したので問題はないでしょう」


ベロニカ

「この島の運営方針はいかがなさるつもりか?」


「といいますと」


ベロニカ

「あなたが王になったりして統治するとかですね、この島は前任のグラス様の方針で

手つかずの場所が多いです、しかし私の見立てでは資源もあり。火山もある宝の山でもあります。

グラスさんに聞いた話ですが、グラスさんがこの島に来たときは既に人もいない魔物の島で

価値はないという話でしたが、大きな島ですし開拓すれば1つの小国なみの広さはあります。

今現在人間が住んでいるのは、このグラスの町だけですが、海運の拠点にもなる可能性はあります」



「うーん・・王にはなろうと思いません。町の人は誰の支配にもなりませんし、私は誰も支配しません

グラスさんの考えは受け継ぎます、ただ島の開拓は行っていくと思います。 

いろいろ、協力をお願いすることもあると思いますがよろしくお願いします」


ベロニカ

「さすがはグラスさんの交代者ですな。グラスさんのような人が選ばれた・・

私としても、10の守護者のうち信頼できる守護者の国は発展していただきたい。

クーマ王国も大丈夫なようですし、この町から送られてくる魔石も質がいいので助かります

これからも末永く」


ベロニカさんは握手を求めてきた俺もそれに答えた


「それと私はまだ未熟で、他の国に行くのに時間を要しますし、この町の防衛力もさほど高くありません

グラスさんが行っていた孤児の保護をベロニカ商会で手伝っていただけないでしょうか・・」


ベロニカ

「ここは孤児たちが起こした街ですからね・・わかりました商会で保護した孤児は

定期便でこの島に護送しましょう、それと教師も数名募集してみます」


「それはありがたい、特に魔法教師はほしいところです」


ベロニカ

「ふむ、魔法教師は貴重ですからね人間でなければいるかな・・人間の魔法教師で暇な人は少ないですから」


「人間でないというと?」


ベロニカ

「エルフ族なんかが魔法が得意ですね、リザード族も水の扱いに優れています」


「この島には人間以外の種族がいないので少し不安ですが・・・」


ザック

「問題ないでしょう、グラスさんがいた時には人間以外の冒険者も多くいらしたし 

免疫がないわけではありません」


そういえば海人族に一番ビビッていたのは俺だったな・・

しかしザックさん、やっとしゃべったな今日・・・・大物相手には緊張するってことか


しかしエルフってあのエルフだろう 美人で有名だ、ちょっと楽しみ。

リザードはトカゲかな?トカゲの人型って想像がつかない・・


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