「ひゅーまん」

短冊はベランダに干す藍色の折り紙ひとつ空に溶かして



火星から来たと言い張りたい夜も三分間待つカップラーメン



帰りたい、と願ったのだ 外側が切れたまんまの電灯の下



部屋干しにしたYシャツをベランダの割れた茶碗の猫が見ている



CMの楽しげな声ぶら下げて洗濯パラソルぐるぐる回す



栗色の長髪 きみを捨てるたび正しくなっていく四畳半



人工のちぢれた麺が伸びていくような呼吸だ 俺が悪いさ



結局はきみも地球の人だったそういうことにしておく しておく



五年ぶりの大雨らしき七夕をざまあみろって笑う海老たち



ひゅーまんが可算名詞であることを確かめている 火星は遠い



人類でありたい人を好きでいたい 俺たちもっと泣いてよかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る