「甘味、或いは春風を避ける」

曖昧にカギ括弧らは綴じていく 隣の席でグラスが鳴いた



溶けだしたショートケーキのクリームを掬って君の頬に塗りたい



角砂糖は三つじゃなくて二つでしょう 腕をつかんで、キスの前触れ



春風を避けたあたしをチェシャ猫のようなアップルパイが見ている



濃厚を謳うアイスクリームにはヴァニラも要らない、何もいらない



めくるめく嘘に溺れてしまいたい 彼女は友達だってマシュマロ



残されたことも知らずに皿の上眠る愚かな猫のマジパン

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