短歌「水深五十メートルの欲望」他

桜枝 巧

「水深五十メートルの欲望」

真っ青なゼリーを食べる直前の渇望に似た夢の訪れ



インスタント・チャイの香りじゃ誤魔化せやしない小指の震えもあるの



屋上にプールが欲しい水深は五十メートルくらいにしよう



真っ黒な夜が揺らしたカーテンの小さな染みは嫌いじゃなくて



丸文字の見取り図 茄子とバスタブは仲が良くない設定にする



何処までも沈みたいのだわたくしをとかしてしまう夏は遠くて



アパートの一室で練る計画はやさしいままで朝になってく

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