14
14ーカユウ①
あーあ、来ちゃった。ソヨとフタバの住む施設。
気分転換に散歩してくるってウチの施設の人に伝えて、バスに乗って一人で来ちゃった。
人工内耳をつけて音が聴こえるようになったとはいえ、一人で公共交通機関を使うことなんてなかったのでおっかなびっくりな旅になった。
正面玄関から入って、二人の部屋をノックする……なんてことはしない。私ひとりで入って行ったら、施設のおばちゃんに見つかって私の施設に報告されて叱られるのが目に見えている。もう二年くらいは通っているはずなので、ここの施設の人とももう見知った関係だ。
というわけで、施設の壁を沿うようにコソコソ歩いてカユウとソヨの部屋の窓の真下に来る。二人の部屋は二階だ。窓は細い隙間を作って部屋と外を繋いでいるようだった。
ちゃんと冬場でも換気してる。えらい。
それはどうでもよくて、窓が空いているというのが大事だった。これで声が入るはず。
問題は、フタバがヘッドホンをしているかもしれない事だ。とりあえず声をかけてみよう。
おーい、フタバーって。
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