13ーフタバ

 つるつるすべすべ……


 受験が終わって暇を持て余している僕は、部屋に置いてあるツルツルした紙の本を撫で回していた。カユウによるとこれは植物図鑑らしいが、点字になっていないのでは僕には何もわからない。ただ、感触だけ楽しんでいた。


 違う。僕が求めている感触はこれじゃない。


 もっと温かくて、包こめそうな大きさで、やわらかいようなかたいような感じで、いわゆる……


 カユウ。


 自分で考えてても気持ち悪いが、カユウを抱きしめた感触を忘れられない。もう一回だけでいいので、ぎゅーっとまたあの温かさを感じたい。


 ……恋かな。それにしては歪んでる気がする。


 カユウがくれたチョコレート美味しかったなあ。気になる女の子からチョコを貰ったので、男として飛び上がって喜んだ。ただ、いわゆる友チョコとかいうやつだろう。ため息が出る。


 カユウは高校に入ったら彼氏とかつくるのかなあ。


 なんかやだなぁ。


 でも、いい子なのは間違いないから男もたかるだろうな。


 バレンタインにカユウのチョコを貰えるのは僕じゃないんだろう。


 ……。


 お返しのチャンスも今回限りかもしれない。

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