13

13‐ソヨ

 ワタシはいつも通り植物図鑑を眺めていた。

 もう三月だ。これから花がたくさん咲く季節になる。同時にワタシは高校生になる。


 ……と言っても、通信制なのでいわゆるJK女子高生☆のようなキラキラしたものではないかもしれないが。


 受験が終わり、合格という結果も受け取り、ワタシはぼーっと生活していた。カユウがまだ大変な分、こんなにほのぼのとしていることに若干の罪悪感がある。


 ああ、カユウは今頃なにしてるかな。勉強か。勉強だろう。


 前に会ったのはバレンタインの頃だ。今はもう三月に入ったので、半月ほど前になる。カユウは手作りのチョコレートをくれた。あまりにも本命くさい感じでびっくりしてしまったのだが、“女同士なのに本命なわけないでしょ”と笑われた。それはそうだ。

 そもそも、バレンタインのチョコレートなんてテレビなどから仕入れた知識でしかないのでワタシが思う本命チョコなんて世の中では義理チョコの範疇に過ぎないのかもしれない。


 ところで、わざわざ手作りのものをワタシにくれたのだ。とっても美味しかった。作るのも時間がかかっただろう。勉強の時間を削らせてしまったのだから、深く感謝しなければならない。ワタシはバレンタインなんて全く意識していなかったので何も用意しておらず、未だにその事を申し訳なく思っている。


 そういえば、バレンタインには貰ったチョコのお返しをするイベントがあったはずだ。勉強用タブレットのブラウザで検索したら、ホワイトデーと言うらしかった。


 三月十四日。ふーん。


 頑張ってあげなくちゃ。

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