9-双葉

 ワタシとカユウはひたすら勉強を重ねてきた。

 いつの間にか年を越し、三週間ほど経過した。

 ワタシは鉄と木でできた椅子に腰掛けていた。

 時計の分針は59を指していた。



 ☆



 ついにこの日が来た。

 去年はずっとカユウといた気がする。勉強したり音楽を聴いたり、二人での時間は楽しかった。そんな合間に、一人での勉強にも精を出した。不登校の僕が高校に合格するには、人一倍の努力を要したのだ。



 ☆



 ワタシの後ろには男の人が立っている。

 彼は試験官。ワタシが不正をしたりしないように見張るのと、テストの開始や終了を合図する役だそうだ。


 なんでそんな人がいるか?


 簡単な話だ、今日が受験本番だから。


 あと十秒もすれば、私の本番が始まるから。


 ワタシとあの子、二人で重ねた努力の本番。



 ☆



 よくわからないが、今日はリスニングのみらしい。

 受験に関することは詳しくないので、指示された通りにやるのみだ。


 僕が受験するのは私立の通信制高校。そのために、年明けて一ヶ月も経たないのに、この試験会場に居るのだ。


 そういえば、カユウはまだまだ先らしい。


 カチカチという時計の音だけが響いている。


 僕とアイツ、二人で積み上げた苦労の本番。

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