#8 ぶんかだいかくめい

「...ん...、アレ...!?かばんさん!!起きてください!」


「あっ...」


「さ、サーバルとカラカルがいない!!」


2人は鉄の檻の中に閉じ込められてしまっていた。


「よぉー。お目覚めか」


「誰ですか!」


キュルルが叫んだ。


「オレはロバベーカリーカンパニー常務のハブだ」


「サーバルとカラカル達はどこに!?」


「今頃副社長の託児室だ。まあ、取り戻そうとしても無駄だからな。赤ん坊計画は徐々に進んでいる。指を咥えて見ていろ!ハハハ!」


「それはどうかな?」


「...ん?」


かばんは長い棒で、ハブの背中をつついた。


「ああああっ!!!」


突如悲鳴をあげる。


「そ、それは...」


「私の秘密道具...!突っ張り棒税込108円!」


「クソがぁ!!」


苦悶した表情を見せる。


「私達を解放してください!しないならもっとつつきますよ!」


「...ッチ」


一方その頃。


「オオミミさん!!前方になんか兵隊みたいなのが一人こちらに向かって...、え?なんとかしろ?無理ですって!」


「我が命ジャイアントパンダ皇帝の為に散っても構わない!!突撃ぃいいいいいい!!!!」



アサルトライフルを持ち突撃してきたのは、

レッサーパンダだった。

思わずブタは避ける。


「ひいいいっ....」


「ほな社員さん。かばん達への略奪未遂で起訴するで。大人しく捕まっとれ」


「いいや!拉致監禁罪だ」


「なんやてイリエ。ウチの手柄取るんか?」


「何を言う、私の手柄だろう!?」


「そもそも弁護士が起訴できるのか...?

六法全書の何ページに書いてあるんだ!?」


ゴリラは六法全書を捲ることに夢中だった。



「なんなのね!?アイツ!!

一人で鉄砲玉乱射とか狂ってるのね!!」


「何処だぁ!?大将のクビを出しやがれ!!」


ズダダダダダダダ!!



「こ、ここが副社長の託児所だ...。

縄はずせよ...。オレなんもしねえからさ...」


「ダメです。折角縄税込108円買ったのに使わないのはもったいないので」


「お前百均信者かよ!!」


かばんが託児所の扉を開けると、複数の赤ん坊の鳴き声が聞こえた。


「っ...!?」


そこに居たのは赤ん坊を抱き抱えるリョコウバトの姿があった。


「サーバルとカラカルを返してください」


「私の赤子を奪い取るつもりですか!?」


「あなた犯罪者ですよ!勝手に他人の赤子を誘拐して!ロリコンにも程があります!」


「私をあんなロリコン勢と一緒にしないで頂けますこと?」


「...キュルル!ここは私が何とかする。君は早くこの施設の何処かにいるゴールデンセルリアンを見つけるんだ!」


「...はい!」



大きな使命を担わされたキュルルは急いでゴールデンセルリアンを探しに向かった。






「ハァ...、ハァ...」


階段やらなんやらを走り回っていると、廊下の奥の方で、何者かが走り去る影が見えた。


「あれは?」


気になったので急いで後を追いかけた。


行き着いた先は行き止まりだったが、扉がある。


「....」


思いっきり開くと、


「お前はっ!!」


「よくここまで...!!」


サーバル達を赤子に変えた張本人、ロバがいた。


「だが無駄だ!ゴールデンセルリアンを精製するゴールドセルリウムは私の手の中にある!

もう誰もあの者を元に戻すことはできな...」


「それはそうかな!」


キュルルはロバに飛び掛かり擽り始めた。


「ひぁああっ!!あっ!!やめてっ!!くすぐったっ!!ああっ!!」


油断した隙に、彼女の手から小瓶を奪う。


「クソっ!!貴様ッ!!!」



(早くこれでもって皆を元に戻さないと!!

どうすれば手っ取り早くゴールデンセルリアンを...、そうだ!!)


キュルルはスケッチブックとペンを取り出し、

走りながら絵を描き始めた。




(これでよしっ!!)



あの託児室に戻ると。


「どうですか、おばさん!百均なめんじゃないよ!!」


「んっー!!んん!」


「かばんさん!?何してんだよ!」


「百均のガムテープと結束バンドでこのハトを捕獲しただけだよ」


「捕獲すんな!!絶滅種だぞ!!!」


「ところで、その金ピカは?」


「あっ...、そうだった」


キュルルは自分の描いた絵にゴールデンセルリウムを掛けた。


眩い光がスケッチブックから発せられ...。






「詐欺グループを摘発できたのはあなたたちのお陰だ。感謝するゾ」


「オマケに銃刀法違反も捕まえられたからナ」


「ちょっと!治外法権です!私は人民軍の」


必死にレッサーパンダは抵抗した。


「じゃあ入国管理法違反だナ」


「救いは無いんですかッ!?」


「カタカケ警部、カンザシ警部ありがとうございました」


かばんは敬礼し頭を下げた。







「私達...、何してたんだろう」


「全然記憶がないわ...」


「良かった!2人とも...!」


キュルルは2人に抱きついた。


「これにて一件落着!百均で買ったパンでお祝いしよう!」


「もうパンはこりごりだよ....」


キュルルは苦笑いした。


こうして4人は仲良く暮らしましたとさ....。

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けものふれんじゅ2 みずかん @Yanato383

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