-32度 再開のスエオ
村を見つけたスエオは、慌ててもらった仮面をつける。
村の入り口には見慣れた門番、結局戻ってきてしまったようだ。
軽く手を上げて村へ入ろうとすると、門番に止められてしまった。
「まて、見ない顔だな。この村に何の用だ?」
仮面をつけているので当たり前の話である。
しかし、スエオは素で忘れていた。
「あ、え?おでの事か?」
普通に通ろうとしたところを急に呼び止められた為、挙動不審になりながら返事をするスエオ。
「ん?お前スエオの知り合いかなにかか?」
【おで】=スエオの図式が成り立っているらしい。
しかしスエオにとってはまるで差し伸べられた救いのようだった。
「そ、そうだべ、スエオと同じ村で育ったんだべ!」
とっさに考えた噓をつくスエオ。
流石にまだこの辺をスエオとしてうろつくのはマズいと考えたからだが、はっきり言って失敗だった。
「スエオと同じ村!?
お前オークの村で育ったのか!」
ですよねー。
スエオがオークだという事を知っているのだから当たり前の反応である。
思いっきりやらかしたと焦るスエオだが、門番は思ったよりバカだったらしい。
「ということはスエオに人と生きる事を教えたのはお前なのか。
もうちょっとあのファッションセンスを何とかするように教えてやらないと、スエオがかわいそうじゃないか。」
間接的にディスられるスエオである。
やはりオークの格好は色々と酷いようだ。
「あれはあれでいいと思うべ。
とてもくぅるだと思うだーよ。」
よせば良いのに自己弁護するスエオ。
しかし、泥沼にはまるだけだった。
「あんなのクールでも何でも無いだろ。
どう見ても変質者じゃないかwwww
でもよく見るとアンタの格好も……」
思いっきり馬鹿にされるスエオ。
もはやHPはゼロである。
「そ、そうだべか……
じ、じゃあおでは先を急ぐから通して貰うべ。」
逃げるように村へと入るスエオ。
門番のガードはゆるゆるであった。
センスをディスられて満身創痍のスエオは、人に見えるんだからと個室のある宿屋へと逃げ込むと、宿代を払い部屋にとじこもった。
誰も見ていない一人部屋で、スエオは枕を濡らして眠るのだった。
翌朝、あまり知り合いに見られるとバレると思ったスエオはそそくさと村を出る。
来た方とは逆の門から外へ出ると、スエオは前を向いた。
「さて、おでの新たな旅が始まるべ!」
村でディスられたことは無かったことにされたようである。
むしろ村に寄っていない事になっているのかも知れない。
スエオは来るときに通った道を逆にたどり、オークの村へ続く道をスルーして、以前助けた人達が行った先へと向かうことにした。
地味に行動範囲が狭いスエオである。
とりあえずこの先にあるという王都へと向かうことにしたのだった。
……騎士を二人ほど死なせていることは既に頭には無かったスエオである。
この先、どんなことがスエオを待ち受けているのか。
服装が変わっていても、どっちにしろ変質者にしか見えないスエオがクールになれる日は来るのか?
スエオの冒険はこれからだ!
※打ち切りではありません。
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