-13度 改名のスエオ
槍を構えてスエオを囲んでいた自警団は、後からやってきたギアテとの話し合いにより解散した。
「腹の音と、美味かったからつい声を上げてしまっただけだーよ……」
多少スエオに慣れた店主も同様の証言をしてくれたおかげで、とりあえずはそのまま解放された。
しかしやる気を失ったスエオは、とりあえず宿を探して昼寝をすることにした。
昨夜はギルドの爺さんの長話に付き合ったせいで、そこまで睡眠がとれていないのである。
ふとそう思った時に、スエオは爺さんの名前すら聞いていない事に気づいた。
社会性の欠如から来る悪習である。
今度会った時にはまず自己紹介からするべと思いながら、さっきの屋台の店主にさっそく自己紹介をしてみる。
「美味かっただよ。絶対また来るだ。
真名は明かせないだが、おでの事は
スエオ独自の
頭文字の取り方が【
「そう言えば名前も聞いてなかったな。すーえ?でいいのか?
呼びにくいな、真名とやらじゃ無いって事はただの愛称みたいなものだろう。
そうだな……スエオとかどうだ?」
まだ横にいたギアテによる、奇跡の一致!!!
スエオの発音の悪さもあるが、ギアテの適当さもある意味おかしいと思われる。
「……別に構わないだよ。」
不満そうな顔ではあるが、慣れ親しんだ呼ばれ方でもある。
スエオはしぶしぶ了承した。
と言うか真名というのであれば両親がつけたスエオの方が真名になるのだが、厨二病真っ盛りのスエオにはそんな普通の名前は耐えられないので勝手に改名したのだ。
スエオはまだ若干おびえる屋台の店主、ボンブと握手を交わすとついでのように宿屋の情報を聞いてみた。
しかし答えが返ってきたのはボンブからではなく、横のギアテからだった。
「何を言っているんだキサマは。
昨日のギルドはともかく、今日またトラブルを起こしたお前が宿屋など泊まれるわけが無いだろう。
ちゃんと自警団の中にも宿泊できる
キサマは村人から怯えられなくなるまではそこで寝泊りしろ。」
寝床の世話をしてくれるというギアテだが、スエオは何か嫌な予感を感じ取った。
変なルビが振ってあった事に気づくのは野生の本能だろうか。オークだし。
「昨日の爺のうんちくに付き合わされて眠いのだろう。
詰め所のお前の部屋まで案内してやるからついてこい。」
そして今日もスエオは昼間っから自警団の詰め所へと連行されるのであった。
ちなみに【防犯は万全のベッドとトイレ付の個室】が案の定牢屋だった事に不満を覚えたスエオは、土魔法で鉄格子の隙間を土壁にし、プライバシー空間を確保する事に成功する。
それを見た自警団の警戒レベルが一段階引き上げられたのは言うまでもないだろう。
はたして、スエオが普通の人と同じように暮らせる日は来るのか!
クールってなんだったっけ?
厨二病設定すらどこ行った?スエオの明日もどこ行った?
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