第5話 東宮様の侍従と新たな難題
紅月は無事に東宮の侍従として認められた
碧に侍従は元々はいなかった
侍従がいなったためか紅月に教えてくれる人もいない
(何をすればいいのかよくわかんない。東宮様に聞いても補佐をすればいいとか言ってるし。それにしても内裏に参入しただけで沙羅双樹の君になるなんて思いもよらなかった)
「はぁ・・・」
「沙羅様。東宮様がお呼びです」
「分かりました」
紅月は碧[アオイ]の所へ向かった
早速、命令がされた
「沙羅。これからは俺の横に立ち意見を言うことを許可する。だから俺の補佐をしろ」
「御意」
「それとこれを着ろ。明日から表舞台に立つことが増える。それとお前の部屋は右の1番奥だ。住み込みで仕えろ」
「御意」
紅月は碧に渡された衣冠(略式化した正装)を側仕えに手伝って貰い着た
(うわー。動きずらいし少し重い。でもこれが勤務服だから仕方がないのか)
紅月は自分の手持ちの刀を平緒で付けた
そして紅月は碧に背を向けるように近くに座った
するとどんどん仕事が舞い込んでくる
それを補佐しながら進めて行く
「沙羅、これを届けてくれ」
「どこでしょうか?」
「日南の君の所だ」
「殿下の妹君ですか」
「あぁ」
そして紅月は日南の君に無事、届けることができた。だが、多くの時間をかけてしまった
紅月は碧に責め立てられた。
紅月に何があったかと言うと・・・――
紅月は内裏の廊下を歩いていた
(確か日南の君は確か帝が居らっしゃる青涼殿の近くに住まわれているはず・・・)
ある所を曲がったその瞬間にちょとした歓声が聞こえた
そこに居たのは政修だった
すると簾[スダレ]が外れた
「きゃぁ!!」
「危ない!」
紅月は簾を持った
政修が女房達に聞いた
「大丈夫ですか?」
「いえ」
「そうですか」
すると武官が現れた
紅月は武官の方を見た
「何事がありましたか?!」
紅月は簾を下に置いた
「簾が取れてしまったみたいです」
「そうですか・・・」
紅月を怪しい目で見た
「ん?何か?」
「あなたはどちらの様ですか?」
「知らないのですか?沙羅双樹の君ですよ。深雷[シンライ]の谷で奇策を使い中々、倒せなかった義賊の烙羅[ラクラ]を倒した天才ですよ?ちなみに沙羅は殿下の侍従でもあります」
「この美青年がですか?」
「ええ。困ったことに支賊ぽくない神憑りの美青年という所が分かりずらいところですよね。私ももう少し荒男になれって思いますよ・・・」
「・・・え?神憑りの美青年??支賊ぽくない?」
紅月は頭を少し傾げた
「おまけに頭が良いし武道では敵わない岀将入相[シュッショツニュウソウ]ですし。どうしてこんなに竜人はいい所取りなのか聞きたいくらいです」
「それはたまたま・・・」
「沙羅には聞いていません!」
「え、え、ええ?」
(なんか褒められているのか叱られているのかがわかんない。まず、青百合の君〈政修〉にはどこにも敵わなさそうだけど・・・)
すると幸脩が現れた
「百合!落ち着け」
「あ、桜凛[オウリン]〈幸脩〉ではないですか」
「沙羅に勝とうと思う自体がムリだ」
「え?私の方がムリですが・・・」
「沙羅は黙ってろ」
「ええ!?桜凛の君もですか?!」
すると気まずそうに紅月の名を聞いた武官がいた
「あの、そのすみません。つまりこの方が沙羅双樹の君なのですね」
「そうだ」
「そうですか。それはなんて不躾な質問を・・・」
「いえ。私もなんか知らない喧嘩に巻き込んでしまいすみません」
「いえ。私はこの後も仕事があるので失礼します」
「私もこれ以上、東宮様を待たせるということは出来ないので失礼します」
紅月は早々、逃げたのだった
(一体、なんだったんだ?まあ、これ以上長引けば良くないか)
その後も日南の君に猛烈アタックを食らったのだった
そして今に至る
「とう言う訳で大変でした」
「随分と冒険をしてきたのだな」
「はい」
「なるほどな。神憑りみたいな神聖な美しさをもつから沙羅双樹か」
「え?」
「いや。なんでもない。それで回避してきたのだな」
「はい」
「沙羅。それでなのだがお前には会談をしてもらう」
「か、会談ですか?!」
「あぁ」
「礼部を使わないのですか?」
「たまたま、儀式とかが多い時期らしく無理らしい。そこでお前に任せることになった」
「なるほど。分かりました」
「準備期間はどれくらいですか?」
「再来週までだな」
「再来週ですか。分かりました。ん?・・・・再来週!?もっと先ではないのですか?!」
「ああ。さっき言った通りの話しだ。仕方がない」
「分かりました。それで義談内容はなんですか?」
「議談内容は『白国と茜国間の見舞金〔賠償金〕の延長について』。それとこれを読んどけ」
碧は紅月に資料を渡した
それを紅月は受け取る
「私の守護はいいから早く準備に取り掛かれ」
「はい。・・・あの。他の役職の人は・・・」
「決まっている。書記は藤原 政幸、補佐が凛堂 杏執[アズト]。武官人数は20名、主頭は大柳 貴麻呂。影は2人 藤原 董雅[トウガ]、斎藤 直克[タダカツ]。挟まってある紙切れに書いてあるはずだ。それとお前が前に立って喋る役だ。指揮もお前がとる事になってる」
「・・・・・・。分かりました」
(うわー。なんか物凄く重くて辛い役職だー。また胃痛薬飲みながらやるしかないか)
紅月は早速、会議を明明後日に行うことを文によって知らせた
それまである程度の案を考えておくようにということも伝えた
紅月は会議のための準備を始めた
そしてその日が来た
始まった会議はだいぶ進んだ
どのような結果に持ち込むかということについてやその大枠を決めることが出来た
【持ち込みたい決議】
・茜国の見舞金を延長させる代わりに白国に有利
となる条件を付ける
・延長の代わりに利子を付ける
・見舞金の減額の代わりに貿易または見舞金のさ
らなる長期化
【会談中に調べる事】
・政策についての会談による茜国の政策改善の意
志を諮る
・両国の会談を開いた目的は皇太子の能力を諮る
ためなので良き皇太子であることを示す
・両国間には合図を決めている可能性が高いので
それを会談中に調べあるかもしれない危険を
回避する
※枠組みについては話すとキリがないので省略
長時間の会議となったためとても皆疲れていた
紅月はその後も決まったことをまとめた
また、書記官と補佐官の2人にはこの週は毎日会議する事を話した。そして了承を貰った
紅月は毎日、会議を重ね最終的には議案書兼予定書を作り上げた。それを碧と帝に提出した
そして了承を貰った
あとの日々は各々の準備や議談の細かい取り決めに回されて行った
✿*٭❀٭✿*❀٭✿*❀٭✿*❀٭✿*❀٭✿*❀٭✿*❀✿❀
ーキャラクター紹介ー
未来の関白左大臣 藤原 政修[マサノブ](青百合の君)
大抵は微笑んでいる。感情が読み取りずらい。だが基本的には優しい。時に自分にも厳しく他人にも厳しい所がある。悪者には残酷な扱いをする事がある。紅月の能力について憎んでいる点がある。頭脳明晰で天才。日常的に敬語で話す所が特徴的。宮中では人気者の一人
☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。꙳☪︎*。
岀将入相の意味⇒朝廷の外は将軍のように見事に働き朝廷内では宰相のように見事な働きをする人のこと。文武が両道の意味
※訂正 皇太子→東宮でした。すみません(_ _*)
カワイイ系男子を出せずすみません(_ _*)
出すことになるのは恐らく7話からになります
転生した先はとある和風な異世界でした 響鬼 霊 @sirayukinohikari
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生した先はとある和風な異世界でしたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます