第4話

それでこの話を終わらせるつもりだった


にも拘らず、

「うーん。こういうことを言える立場ではないけど。そんな幸せな時期とかって風には、みえないように思う。何か無理していたりするんじゃないの。」


あまりにも不躾で、そのうえ的を得た言葉を受けて、私は絶句した。


「まだ話の段階なら、少し考えてみて貰えませんか。多分、もう少し話をさせてもらったり、考えてみてもらってからでも、損はないと思うし、その時に断わってくれてもいいから。」


結局、私は、この話にも短時間で適当な答えを出すことも、起死回生の一言も言えずに話を持ち越してしまったのだった。



その後も当然ではあるが、何度か、彼とも、生徒とも話をする機会があった。


考えるうえで、年齢的な焦りや、疲れが全くなかったといえば嘘になる。


それでも、最終的に私が出した答えは、その生徒と人生を歩むことだった。


強く望んで貰えたことが嬉しかった。

その気持ちをそのまま大切にして生きていきたかった。


これが、いかにもいい男、という男性なら、とんでもない自慢話になるが、私より1まわり以上も歳上で、年齢相応の外貌の人当たりのよい方である夫候補に、周囲の反応は様々だった。


特に、はっきりと言われたことはないが、30歳手前でそれなりにお似合いなカップルでゴールインした知人には不評であったように思う。


余計なお世話だ、何の価値観を振りかざしているのか、何様のつもりだ。


そして、そこそこ年齢を重ね、予想外の人生に少し苦労したような人には、それなりに祝福してもらえたように思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る