第5位 清少納言
いつの時代もエッセイは強い。
その理由は、判り易さと執筆スピードの利があるから、と私は思う。これに関しては断然にエッセイは物語より強い。
清少納言の『枕草子』はtwitter的だ。
「季節って、月ごとそれぞれ良いトコあると思うんだよねー」
このフレーズなど今でも絶対に呟いている人がいそうだ。
特に梅雨や真冬などの愚痴を零す人が多い時、敢えてそれに組みしないアンチテーゼを表明することに生きがいを覚える人、絶対にいる。
今の時代ならば、彼女はスマホ片手にしょっちゅう呟いて、フォロワーを増やすタイプではないだろうか。
共感され易いネタを探し、少し捻ってみたり、知的に料理したりが得意な清少納言。取り敢えず、身近で評判になり易い。
そして、彼女は、上手いこと言った! と思うとシリーズ化するのかもしれない。ファボが沢山ついたものを意識する……きっと、やっている方いらっしゃいますよね?
只、そういうものは雑になって行くのが彼女の人間らしさ。
「山って笑える名前多くね? 一杯あるけど、遠慮山とか何ソレ? どーやって控えるの? 山が。ウケる」
といった風に始まる『山は』は手応えを感じたのか、それで終わらず、2回ほどツイートを追加する。
「大比礼山って聞くと岩清水のお祭り思い出して良き」
「後、三輪山。手向け山、待ちかね山、偶さか山、耳なし山なんてのもある」
この時点で本人、少し面倒臭そうなのだが、博識な人間はここでは止まれない。山以外についても語れるのよ! または、語ってやろうじゃないの! と考えるのではないか。
「市が立つから、辰の市……おやじギャグ」
「椿市って長谷詣でする時、必ず泊まるんだよね。これって観音の力ってやつかもしれないから、ちょっと真面目にしとく」
等々、『市は』はまだ語っている。ところがお題『嶺は』となると、唯の固有名詞の羅列だ。
清少納言、もしかすると所謂、三日坊主かもしれない。
「湖って言えば琵琶湖でしょ! 海なら宮津湾、河内」
「渡し場はね、然菅、懲りずま、水橋、なんて名前の」
三大○○的になっていた、このシリーズ。仕舞いには、
『たちはたまつくり』
という、外国人の為の文法例文ですか? というシンプルさになる。メモ書き程度の為、意味が如何様にも取れて後世の人を悩ませる。
流石にそれで終わるのは何かと思ったのか、
「建築で良いのはね~……」
と、最後に頑張って多くの例を挙げた。固有名詞の羅列には変わりないが。数だけは努力の跡が見える。
清少納言、可愛い、と私が思ってしまうのは、こういう抜けのある才女なところだ。尤も、これは女性視点だから、そう思えるのかもしれない。
清少納言はこういう中に、炎上しそうなものが混ざるのも現代的だ。
「必死に就活して入った会社。今、五月病とか草生える。同僚の話」
こんな感じ(『あぢきなきもの』より)なので、これで更に目につく機会も増えるだろう。
少し呟き過ぎて、ウザい、と思う人もいるが、それ以上に刺激的な内容に惹かれて寄って来る人がいそうだ。
だから、清少納言はカクヨムのプロフィール欄にきっとtwitterIDを載せるタイプ。
そして、twitterがメインでも良さそう……と思う程、呟いてアピールする。
とはいえ、彼女の場合、リンク先のカクヨム発表作よりツイッターの方が断然に面白い、という難点がある。殆どツイッターで書き切れてしまうのだ。
そんな彼女、最大の強み。それは「レア情報」。
仮に彼女の思索が性に合わずとも、彼女自身が嫌いでも、レア情報という強力な魅力を清少納言は掴んでいる。
今で言うなら、少し前に開始された某英王室ご夫妻のSNSのようなもの。他にも中東の王子等、やはり奥の院を垣間見られるとなると、人気は沸騰する。
ツイッターで、
「昨日、私、ケンジントン宮殿に呼ばれたんだけど…… ⇒http://kakuyomu.jp/works/○○ 」
なんて書かれたら飛ばない人の方が少ないのではなかろうか。
一般人には見られない世界を垣間見られるのだ。フォロワーが付かない筈がない。
そして、その先教えて、や、もっと見せて、の催促的に♡や☆を押す人が続出するに違いない。瞬間PV等が突出しそうだ。
彼女はバズって上位に食い込むだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます