第154話

「おはようございます。いつもありがとうございます」

レイさんと葉子さんがいつもの通り車でやってきた。

「おはようございます。レイさん、葉子さん。とりあえず上がってください」

そしてオレもいつも通りにリビングに二人を案内する。

「「お邪魔します」」

二人がリビングに入ると

「わーい、レイねぇ、葉子ねぇ。いらっしゃーい」

奈月が飛びついていく。それを苦笑で見送りつつ

「レイさん、葉子さんいらっしゃい。今お茶を入れますね」

と案内を引き継ぐのは真由美。今日はリビングのソファに雄二も座っていて

「おはようございます。本当に2日とも来るんですか」

「そりゃそうでしょう。4人の出番が1日にかたまっていればその日だけでもいいですけど、2日にばらけているのでしょう。なら2日とも行くにきまってるじゃないですか。」

「KKシーズンの方はともかく、陸上部のほうのは色物なので恥ずかしいんですけどね」

オレとしてもはっちゃけるつもりではいるけれど、やはりあっちを知り合いに見られるのは少々恥ずかしいんだよな。

「で、そのKKシーズンのステージはいつなんですか」

葉子さんが興味津々な感じで聞いてくる。

「メインステージで今日の10時からですね」

オレの腕にぶら下がりながら珍しく真由美が答える。いつもならこういう返事はオレに任せっきりなのにな。

「結構早いタイミングなんですね」

「多分一番熱いと思いますよ」

いたずらっ子の顔で笑う真由美に

「楽しみです」

葉子さんがワクワクした顔でレイさんをつついている。

「あ、そうだ。これ渡しておきますね」

文化祭の案内図を葉子さんに渡し

「多分朝は雄二が案内できるとは思うんですけど、念のためです」

そして、一応念のためと、オレ達のスケジュールを二人に伝える。

「奈月は、今日の午前中と明日の午後なんだな」

「うん、楽しみにしてる。文化祭でKKシーズンのライブなんて贅沢すぎ。明日も真由美ねぇとさっちゃんねぇの……ウプ」

言いかけた奈月の口を押えて、軽くにらむ。

「奈月……」

ペロッと舌を出して悪びれない奈月が

「あはは、にぃごめんごめん」

そう言って抱きついてきた。


「じゃぁ、そろそろ行くか。奈月、レイさんと葉子さんと一緒にいるんだぞ。迷子になんかなるなよ」

「もう、にぃ。あたしだってもう中3なんだからね。そこまで子供扱いしないでよ」

「あはは、わかったわかった。じゃぁ学校でな」

奈月の頭をポンポンとして家を出る。オレの後ろで雄二が奈月と一言二言言葉を交わしているのを感じてホッとすると同時にニマニマと顔が緩むのが止められない。

「なあ、真由美。雄二と奈月、最近特に距離が縮んでる気がしないか」

「あ、ケイも感じた?あたしも、最近感じてるのよね。あれはひょっとして先を越されたかなって感じね」

「なんにしても、オレの兄以上の役割も、もう少しで終わりかな」

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