第150話
クラスのシフトを済ませ真由美と文化祭デート中。話題は先ほどまでの恋愛相談。個人情報に踏み込まない範囲で話している。
「色んな相談があったなぁ」
「そうね、この人が恋愛で悩むんだって思えるような人もいて、びっくりした」
個人情報というか、かなりプライベートな内容なので、さすがに真由美相手とは言え個人が特定出来るような言い方はできない。
「好きな人に他に好きな人がいるってのも辛そうだったけどな」
「それはわかるかも。あたしも、もしケイと付き合う前にケイに他に好きな女の子いたら毎日泣いていたかもしれないもの」
「もしもなんて仮定に意味があるかは分からないけど、もしそうだったら真由美はどうしてた」
少し考えて真由美が出した答えは、
「そうねえ。毎日泣いて、でもケイにあたしを好きになってもらえるようにいろいろ努力したんじゃないかな」
その答えにオレは、思わず微笑み
「真由美ならそう言ってくれると思ったよ」
と、思わず抱きしめた。
「ちょ、ちょっとケイ不意打ちはダメっていつも言ってるでしょ。心臓がやばいから」
そう言いながらも真っ赤な顔で照れながら真由美は抱きしめ返してくる。
ふと気づくと周りから生暖かい視線、殺意と怨嗟と嫉妬の籠った視線にさらされていた。普段のクラスや陸上部では普通になっていたけれど、真由美はかわいいし、結構モテる。そんな真由美と抱き合っていればそれはそうか。
「真由美。ちょっと周りの視線が痛い。移動しようか」
「う、うん、あたしもちょっと怖い視線を感じる」
嫉妬(物理)なら返り討ちにする自信のあるオレ達だけど、あの視線の矢はにはいたたまれない。
移動した先にはちょうど1-Eの教室前で幸枝が呼び込みをしていた。オレ達に気付いた幸枝が早速声をかけてくる。
「あ、ケイ君、真由美ちゃん。寄って行ってくださいよ」
「おう、良いけど、1-Eは何やってんの」
「私のコスチューム見て気づきませんか」
見れば確かに、ゴスロリ風の衣装にフリルのエプロン、頭にはこれもフリルのヘッドドレス。
「似合ってるな。可愛いじゃないか。その衣装からするとメイド喫茶かな」
とたんに顔を赤くして照れる幸枝。反応にほっこりしていると。
「さっちゃんもケイからの不意打ちには弱いよね」
と真由美もニヤニヤしている。
「そ、そんなこと……」
「そんなこと、なーに」
「ある、かも」
「だよねぇ。ケイって天然で誑しだからね。あたしとしてはさっちゃんにまでにして欲しいんだけどね」
「でも、あなたたち二人への気配りが他の女の子を呼んでるところもあるわよ」
「あ、神崎さん」
「ふふ、ケイ君と真由美ちゃんはデートかしら」
「デ、デートって……」
真由美は照れて言い切れないようなので、真由美を抱き寄せながらウィンク。
「なかなか校内で堂々とデートなんてできないからね。今日は嬉しい特別な日だよ」
「ああなるほど原因はあなたたち二人ね。あちこちで四つん這いになって嘆いている生徒が男女問わずがゴロゴロしてたもの」
「え、男女問わずなの。オレだいぶ痛い視線感じてはいたけど」
「あたしも、嫉妬に狂ったような視線が痛かったんだからね」
「真由美も」
「神崎さん。ケイに教えてあげて。ケイってこれだけハーレム作ってるくせに、あれだけ告白されてるくせに自分がもてるって自覚ないのよ」
そこに幸枝がひとこと
「うん、話は良いですけど、ここでじゃなくて中に入ってうちのクラスの席でお話してくれると嬉しいですね」
「あ、出入り口でごめん。入るよ」
「うん、ゆっくりしていってくださいね。あなたたち二人が座っていてくれればきっとお客さんの入りもよくなると思いますから。神崎さんもいいキャラなので一緒にいてくれると嬉しいですね」
「おい、幸枝言い方」
「えへへ、いいじゃないですか。そのかわりじゃないですけど、サービスしちゃいますよ」
「まあ、もともと寄っていくつもりだったから」
「はーい、3人様ご案内でーす。特Sでお願いしまーす」
「なんだ、その特Sってのは」
「うふふ、席に座ってのお楽しみですよ」
そこで入り口をくぐると
「いらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様」
おっと挨拶から本格的なメイド喫茶な雰囲気。
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非常に中途半端ですが、今日はここまでで更新します。
いまだスランプから抜け出せず。
更新頻度が落ち込んでおり、読者の皆様には大変申し訳ございません。
頑張りますので見放さずお読みいただけると嬉しく思います。
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