第143話
放課後は陸上部での練習。新人戦県大会に向けての調整なので軽めだ。
「よーし、今日の練習はここまで。文化祭に向けての準備状況を確認して終わりにするよ」
出し物の関係で出演組は演奏の練習、その他の部員はメニューや舞台装置の準備、レンタル品の予約等の役割で準備を進めている。そうは言っても演奏は陸上部主催の色物扱いだろうし、舞台措置もお手軽なものレンタル品に至っては電話1本しておくだけだ。あとは前日に喫茶用のコーヒーやら紅茶、当日にケーキ類(配達してもらえるらしい)の受取をする程度。それらの手配状況と出演者の練習の具合をひとつひとつチェックしている京先輩。こういうところ頼りになるんだよな。
「結局ケイと真由美と幸枝は3人で演奏するってことでいいんだよね」
京先輩の声に
「ええ、3人で。今2曲まで選曲済んで練習開始してます」
オレが答えると
「1曲は大体仕上がってるんですよ」
嬉しそうに幸枝が追加し。
「1グループ15分くらいの演奏時間なんですよね。そうすると3曲くらいね」
頬に手を当て真由美が首を傾げる。可愛いじゃないか。思わず頭ナデナデすると、目を細めて真由美がすり寄ってくる。それを見て幸枝がほっぺを膨らませるまでが流れだ。それを見て京先輩が
「いつも思うけど変わったグループね、あなた達って」
それを聞いて3人そろって首を傾げ
「まぁそれがオレ達ですから」
それを聞いて
「あの時諦めていなかったら、私もその中にいられたのかしらね」
聞こえるか聞こえないかの声でそっと呟いた京先輩の言葉は、寂しそうだった。それに答える事の出来ないオレは聞こえないふりをするしかなかった。
陸上部の活動の後、オレ達3人は軽音部に顔を出し、文化祭に向けてギターの練習をしていると。神無月先輩が声を掛けてきた
「ケイ君、真由美ちゃん今週末時間取れるかな」
「今週末ですか。すみません今週末はオレ達は陸上部で新人戦県大会です」
「え、1年生で県大会出場なの」
驚く神無月先輩に横から幸枝が
「それどころじゃないですよ。その2人って順当に行けばブロック大会出場しそうなんですから」
「そうなの凄いじゃない」
「あぁまぁ、部の練習でのタイムだけならそうなんですけどね。本番だと色々あるので、オレは多分ブロック出場は今回はまだ無理かなぁ。来年のインターハイ予選あたりで狙いますよ。真由美は今回も可能性ありそうですけど」
高校レベルでの試合だと真由美のスタミナが少し心配だったけれど、こないだの800mの練習を見ている感じだとスピードスタミナ、フィジカル面では可能性ありそうなんだよな。
「2人とも実は結構凄い選手だったり?」
「2人とも中学時代は県上位常連だったそうですよ」
なぜか幸枝がドヤ顔だ。
「まぁそんな訳で今週末は予定入ってますけど、何の用だったんですか」
「日曜の夕方からスタジオに予約取れたから合わせたかったのよね」
「夕方ですか。時間は何時頃からですか」
「6時から3時間ね。この時期は、近くの学校で文化祭や大学の学園祭が多いから混み合って中々予約とれないから出来れば来て欲しかったんだけど」
「ちょっと待ってくださいね」
「真由美、大会プログラム持ってるか」
「ううん、さすがに今日は持ってない。家においてある」
そこに、オレの左肩をつんつんとつつく手が。振り向くと
「私持ってますよ」
と幸枝が、ごそごそとスクールバッグの中を探し1枚の紙をだしてきた。
「幸枝ありがとう」
プログラムを確認すると
「少し遅れるかもしれませんが、参加できると思います」
「駅前のスタジオスパークって知ってる?」
「いえ、今までスタジオなんて無縁だったので」
「じゃぁ簡単な地図を、ってよりスマホで地図出した方がいいか」
スマホの地図で場所を教わり、当日大会が終わり次第参加することにした。
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高校における雄二の専門種目を3000mから5000mに変更しました。
作者の知識(経験)がこのあたりの距離だと中学で止っていたため、高校の公式戦において存在しない3000mをそのまま引き継いでしまった為のミスです。
読者の皆さんには混乱を招くことになったかと思います。申し訳ありません。
高校時代における雄二の種目を3000mから5000mに読み替えていただきますようお願いします。
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