第141話

「結局、京先輩の音楽カフェになっちゃったね」

クスクスと笑いながら真由美が上目使いにオレの顔を覗きこんできた。

「でもまぁ如月の『みすあんどみすたーコンテスト』よりは安全だろ」

溜息をつくオレに

「あはは、あれはもうケイが弄られるの目に見えてたよね」

「そんなに見たいかねぇ」

「まぁ分からないじゃないかなぁ」

「え?」

「あ」

「真由美ぃ?」

「だ、だってケイの女装って女のあたしから見ても綺麗で。その、もう一度見たいな、なんて」

「ちょ、ちょっと待て。真由美、おまえ迷走してないか。大体綺麗とか可愛いってのも真由美自身が綺麗で可愛いのに」

「自分が綺麗とか可愛いってのと綺麗で可愛いケイを鑑賞するのは別なの」

納得のいかないおれに

「じゃぁ、ケイはさ、例えばあたしが男装してかっこよくなったら見たいと思ったりしない?」

想像して見る。キリッとしたメイクにタキシードを決めた真由美。これはこれで

「ふむ、ありだな」

じっと見つめるオレに

「け、ケイ何を想像してるの?」

真由美は女子としては背が高めだから、ヒール高めのブーツあたりにインソールで少し背を高く見せれば170cmまではいかなくてもそれ近くには見せかけられる。問題は同年代の中では豊かな双丘だが、男装というジャンルがある以上何か対策はあるだろう。

「真由美って足のサイズたしか24cmだったよな。身長も春の身体測定で161cmって言ってたよな」

「ケイ、何か既に計画を立て始めてる?ちょっとねぇ」

オレは男としては華奢な体形だから、おそらく。そこでニヤリと笑って。

「文化祭楽しみだな」

「え?ケイ。何をするの。あたしに何かするの?ねぇケイってばぁ」

真由美を抱き締めぽんぽんと頭に手をあて

「大丈夫、真由美は素敵だよ」

と真由美の頬にキスを落とすと

「だ、だからぁ。いつも言ってるでしょうがぁ。不意打ちはダメ。心臓が爆発しちゃうからぁ」

とっ耳まで真っ赤になって叫ぶ真由美をほっこり抱き締めた。

どうにか真由美を宥め、家まで送って帰宅した。

家ではネットで色々と検索をしいくつかのアイテムをkamazonで注文のうえで

「奈月、ちょっと協力してほしい」

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