第140話

「さて体育祭も終わったので文化祭参加の件について練習後に話し合いたいと思います。時間の取れる部員は帰宅準備をしたあと部室棟前に集合してください」

練習開始前に京先輩が伝えた通り集合した部員。なんと驚異の100パーセント(幽霊除く)。狭い部室では打ち合わせも何もしにくいということで空き教室に移動。

「まず何をするか案を出してください。私からは以前にも言いましたけれども音楽カフェを提案させてもらいます」

黒板の一番上に『音楽カフェ』と書かれる。

「ミスアンドミスターコンテストはどうでしょう」

如月の何気ない提案ではあるけれど。一応これは反対しておこう

「参加者を集められるか?会場を押さえられるか?ちょっと無理じゃね」

そこにはニヤァっと悪い笑顔の如月がいた。

「参加者なんか、うちの部には人気投票上位者男子もいるし、かわいい女子もいるじゃないか」

まさかの部内生贄方式を提案してきやがった。しかもあれだろ?こいつの悪い顔からしたら……

そして不本意ながら黒板の2番目に『みすあんどみすたーコンテスト』と記入されてしまった。

これなら、まだ音楽カフェの方がまし……??なんかあったなこれ?困難な提案をして

「あ、ドア・イン・ザ・フェイス」

思わず声に出してしまった。

「ケイ君何かな」

京先輩がちょっと動揺した様子で声を掛けてきたので

「先輩、如月は撒き餌ですね」

「は、撒き餌って?」

しらばっくれる気らしい。まぁどうにもならないことではあるので

「まぁいいです」

その後、割と無難な提案が続き黒板には上から純に

音楽カフェ

みすあんどみすたーコンテスト

冥土喫茶(誤字にあらず)

オバケ屋敷

クラウチングスタート体験

メイド&執事喫茶(正統なやつ)

オレとしてはクラウチングスタート体験あたりが陸上部ぽくて更に過疎りそうでよかったんだけれど最終選考に残ったのが

音楽カフェ

みすあんどみすたーコンテスト

何故だぁ。『みすあんどみすたーコンテスト』はひらがなのあたりで怪しすぎて逃げ腰。それなら『音楽カフェ』が100倍マシ。

結局のところ、さすがに怪しさに腰の引けた部員の主張により『音楽カフェ』に決定した。内容は楽器が弾ける部員は楽器を弾き、引けない部員は厨房もしくはホールを担当することで分担が決まった。

決まったんだけれど、あの女子部員の獲物を狙うような目つきが気になる。

そして、一応確認した『みすあんどみすたーコンテスト』の内容は、やはりというかとんでもない、部員全員を女装・男装、メイドコスプレ、執事コスプレでステージに上げて人気投票をするつもりだったようだ。これに決まらなくて良かった。

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