第136話

「やったな。最先良いぞ」

正樹を筆頭にハイタッチで迎えてくれるクラスメートに笑顔で応える。一通り相手をしたあと、奈月やレイさん葉子さんがいる場所に様子を見に行こうと声を掛けた。次の出番まで30分はある。

「真由美、雄二ちょっとレイさん達の様子見に行くけど、どうする」

「あたしは行くに決まってるでしょ」

いつものポジションに抱きついて来る真由美と

「なっちゃんも来てるよね。行くよ」

雄二も一緒にいく。

「ケイ君も雄二君も真由美ちゃんも、どこがテンション低いのかな。かなりマジだったでしょ今のリレー」

「でしょでしょ、いきなりで隣にいた私もびっくりしましたよ」

途中で合流した幸枝が何故か興奮気味だ。なので先ほどの状況を説明すと。

「あぁそれは燃えるシチュエーションですねぇ」

と納得するレイさんと葉子さん。

「でも、まさか幸枝が『俺より強い奴に会いに行く』ってセリフを知っているとは思わなかったな」

カッっと赤くなった幸枝が

「そ、その私だって高校生ですよ。そのくらいの言葉知ってます」

「あはは、今日のさっちゃん可愛い」

レイさんに抱き寄せられて幸枝があうあう言っているのをほわほわと見ていて、ふと気付いた。雄二と奈月が話しに入ってきていない。周囲を見回すと、少し離れた木陰で見つめあって異世界トリップしている。ちょっとほっこり安心と見ていたら左腕を引っ張られた。

「ケイ、そんなに見ないの。あたし達が二人の時だってそんな見られたら嫌でしょ」

「あ、あぁそうだな。でも良い感じに周りにもアピールになってるようだぞ」

田辺さんが駆け寄ろうとして奈月の存在に気付き呆然としているのを見ながらくくくと笑う。そんな中、開催プログラムを見ていた葉子さんが

「次の出番は、チーム対抗リレーですか?」

「そうだね、各学年男女各1人の6人リレーを赤白各2チームだから中々大掛かりでちょっと珍しい形式のリレー。さらに特徴的なのは1、2、3走、4、5走、6走で走る距離が違うってとこかな」

「へぇ変形のスウェーデンリレーですか?」

「あぁまぁ、こういうときはメドレーリレーってのが、まぁそんなのはいいや。で、1走から3走は100m、4走5走は400m、最後の6走が800mなんですよね。そこを男女学年関係なく配置するという、本当に高校の体育祭の種目なのかと言いたくなる種目」

「で、君たちはどこを走るの」

「オレは6走800ですね」

オレが答えると

「あたしは4走400。男子もいるのに」

「で、雄二が5走の400。ただ、人数制限の関係で雄二はBチームですけど」

「ふーん、それで1位なれそうですか」

「そりゃケイが800走る段階で決まったようなものかなぁ。ね、赤組のさっちゃん」

「ちょっとずるすぎじゃないですかねぇ白組さん。そこに陸上県上位の実力者をズラズラ並べるのは~」

「「え?みなさんそんな実力者??」」

葉子さんもレイさんも驚いている。

「そうなんですよ、こないだちょっとだけチャットで話しましたけどこの3人って……」

「まぁ敵に回ってしまった以上しかたないだろ」

「あぁ私とケイ君はロミオとジュリエットよね、これはお付き合いするしかないよね。ケイ君愛してます」

調子に乗り始めたのでチョップで止める

「無理やりすぎ。そこで告白に繋げるな」

幸枝が相変らずのポンコツ具合を見せ

「そろそろ時間だから行くね、ゆっくり楽しんでね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る