第131話

寝不足のまま1日を過ごし。今は自室のベッドに横になりながら英単語の暗記中

「にぃ、今時間いい?」

「奈月か。いいぞ」

豆単を横において奈月に向き合うために半身を起こし、ベッドにすわる。

ちょっとどうしたら良いか分らないような風なので、すわっている横をポンポンと叩き横にすわるように促す。おずおずとした感じで横に座ってきた奈月に

「どうした、さびしくなったか」

あたまを撫でながら聞くと

「ちょっと」

といいつつ頭をオレの肩にのせるようにもたれかかってきた。

しばらくそのまま奈月の頭を撫でる。少し癖っ毛のフワフワした髪を梳かすように指を通す。

「にぃはさ、あたしがにぃを男の人として好きだって事を変だと思う?」

こういう問いかけが、いつかあるだろうと思っていた。

「そうだなぁ。わりと普通みたいだぞ」

「え?」

「男兄弟てのは女の子にとって最初の異性なんだそうだ」

色々調べてみた内容を踏まえて安心させるように話す

「父親よりも歳の近い特に兄、おまえにとってならオレだな、は、一番近くにいることもあって最初に意識するそうだ。特に仲の良い兄妹だと程度の差こそあれ恋愛感情を持つことは結構あるんだって」

「そうなんだ、あたし別に変じゃないんだ」

「特にオレ達の場合はさ、あの事件があって二人寄り添って乗り越えたじゃないか。だから余計にだと思うよ。だから気にするな。別に奈月はおかしくなんかない。ちょっとオレへの恋愛感情が強くでただけでおかしくなんか無いよ。だからさ、気が済むまで甘えればいいんだよ」

「おにぃ」

奈月は突然抱きついて顔をオレの胸にぐりぐりとこすり付けてきた。優しく抱き締め背中をぽんぽんする。オレの方から言ってやったほうが奈月にとって楽かな

「奈月、なんなら二人きりのときなら名前で呼んでもいいんだぞ」

奈月は、はっと顔を上げて見上げるようにオレの顔をみてきた

「今奈月はオレの事をひとりの男として好きだって気持ちなんだろう。オレはその気持ちを否定しない。気持ちが落ち着いて、またオレのことを兄として見れるようになるまでは、それでもいいぞ」

おそらく口に出さなくても、心の中では何度もしているだろう、そうしたいであろう事に許可を出して少しでも気持ちを軽くしてやろう。

「ありがとう、ずっとずっと、口ではにぃって呼んでいたけど、名前で呼びたかった。いいの、本当に」

「いいよ、ちゃんと受け止めるって言っただろ。そういうところもちゃんと受け止めるから」

奈月は少しためらったあと、小さな声で

「ケイ、大好き。ありがとう」

「奈月、オレも奈月のことはとてもスキだよ。だから言いたい事したい事ちゃんと言ってくれよ」

奈月は嬉しそう微笑み、軽く顔を上げ目を瞑った。奈月の唇は柔らかく涙でちょっと塩辛かった。

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