第123話
「さて今日のLHRは体育祭の役割決めと出場種目をきめてもらう。体育祭実行委員村上、神埼あとはお前達で頼むぞ」
そう言い置いて担任の山内先生は教室を出て行った。こんな放任主義でいいのか?という疑問はさておき、ある意味戦闘開始。とはいえオレ達幼馴染3人組に求められる内容はほぼ予想できる。そりゃオレだってその競技の専門選手それも公式戦で結果出してる人間がいたら『頼むな』ってなる。種目リストに目を通して出場を求め(強制させ)られると思われるものを探す。1500m、クラス対抗リレー(男女別)、クラス対抗リレー(男女混合)、チーム別スウェーデンリレー、こんなところか。4種目、多いと言えば多いけどこの程度なら受け入れても良い。この他に恐らく部対抗リレーが入るかな。あ、でも個人競技の出場枠はクラスで1人か。そうすると……。そんなことを考えていると
「ケーイ、体育祭は何に出るう」
「ん、どう考えても多分リレーは全種目で引っ張り出されるだろ。個人種目は本来なら1500だけど、ここは多分雄二で決まり。となると100に出るかどうかかな」
「そうか、1500は兄貴がいたっけ。じゃぁさ、いっそお遊び種目に出ない?障害物とか」
「あ、そうだな。少しはそういうのもアリだよな。ところで真由美の方はどうなんだ」
「ん、多分ケイと同じような感じ。でも女子に中長距離を走れる子がいなそうだから800にも引っ張り出されるかも」
少々不安げな表情を見せる。普段走っているより長い距離というのは不安になるもの。短い分には成績はともかく走りきるのは問題ないのだから。だから
「真由美なら大丈夫。ちゃんと走り切れるよ。なんならしばらく中距離の練習に混じる?それとも休みにオレと一緒に少しペースつくりするか」
真由美がぱっと花が咲いたように笑顔になった。
「ケイと一緒にが良い。それにうちでの800のナンバーワンのケイに教われば自信になるし、それに……」
最後は声が小さくて聞こえなくなったけど、多分こう言いたかったのだろうと
「たまには陸上選手らしくトレーニングデートもいいかもな」
「う、うん。そうね。あたし達らしいデートよね」
と嬉しそう抱き着いて来た。オレも抱き返し頭を撫でる。真由美の髪は屋外でいつもトレーニングしているとは思えないほど綺麗で指通りもするりとしていて気持ちが良い。
そこに村上から声が掛かった
「あぁ、そこのバカップル。話し合い中にまでイチャイチャしてないで、そろそろこっちの議題に混ざって欲しいんだけど」
ここは反論させてもらおう
「イチャイチャなんかしてないだろ。出場種目について話し合ってただけだぞ」
あ、あれ?周囲の目が
そこでボソっと近くにいた女子が
「陸上選手らしくトレーニングデート」
その隣の子が
「うちの800ナンバーワンの彼氏に教わる」
反対側の男子が
「最後には、自分達らしいデートとか言ってんじゃねーか。しかも教室の中で抱き合いやがって、うらやま、いや、けしからん」
ついには教室中の声がハモった
「それで、どの口がイチャイチャしてないって言うのかな」
一応言っておこう
「オレ達普段と違ってたか?」
「普段からイチャついてるからわかんなくなるんだろうがぁ」
あれ?真由美と顔を見合わせて首をひねった。
「あぁ、もうバカップルの件はいいから、出場種目決めましょう」
神崎さんが軌道修正をしてくれた。
「じゃぁ主力は陸上部3人。個人種目は、雄二は1500m、ケイは希望で障害物、って本当にこれに出るのか?真由美ちゃんは800m。で、リレーには全種目3人とも出場な」
「「「オーケー、オーケー。まぁ最初からそうなると思ってたから」」」
「出場種目多いんだからその代わり、他の役割は勘弁してくれよ」
「あぁ分かってる」
村上と簡単な取引を済ませて、残りの話し合いをながめる。当然だけれど個人種目は運動部所属者が割り振られそれ以外のお楽しみ種目や団体競技に文化部・帰宅部が割り振られていった。
「じゃぁこれで頑張ろう」
村上の締めの挨拶のあと、次回団体の練習がとかの細かい連絡事項で終了。
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