第115話
「文化祭で音楽カフェをやろう」
「は?」
「部の出し物としてミニライブを定時開催しながらの喫茶みたいなのをやりたいなって」
「京先輩、いきなりすぎでしょう。しかもえらく難易度の高い、まるで400mハードルで自分のレーンだけにハイハードルを設置したような難易度の出し物を。それに文化祭より先に体育祭があるじゃないですか。陸上部としてはそっちが優先じゃないんですか」
「ケイ。その陸上部以外には分からない、しかも陸上経験者にだけは分かる微妙な難易度説明やめようよ。それに体育祭は陸上部だからと特にやる事は無いから、せいぜい部対抗リレーで今年はどんなハンデ付けられるかって程度だからね」
「それにしても何故ここで音楽」
「うん、きっかけはケイと真由美の歌なんだけどね。なんだかんだで、趣味で楽器が扱える部員が結構いることが分かってね。それならってとこかな。陸上部が音楽ってのも意表をついて面白いとも思うし」
「それ絶対最後のが本音でしょ。面白いって」
「別にいいでしょ。それに陸上部主催ってとこで、そんな高レベルのものは期待されないだろうし」
「絶対いやですからね。オレも真由美も変に目立っちゃってるんで。これ以上おかしな目立ち方したくないですから」
そこでふっと京先輩は何かを考えついたようで
「ケイはさ、単に目立つことをするのが嫌なの?それとも目立ってあとから騒がれるのが嫌なの?」
「どっちかって言えば後者ですね。正直その瞬間だけ目立つだけならある意味陸上で入賞するようなものですし」
そこまで言って、京先輩の黒い天使の笑顔に気づいた。
「嫌ですからね、その瞬間だけと言っても女装はいやですからね」
「チッ」
「今舌打ちした、絶対狙ってたでしょ」
そこに真由美が
「美少女ケイ。それはもう一度見たい気も……」
ボソッとつぶやく。おい裏切るな。
「だよねだよね、ケイ君の美しさ見たいよね」
桐原先輩はじめ、何人かの女子部員がワクワクしたような目を向けてきた。
「いやです。なんでオレだけそんな羞恥プレーしないといけないんですか」
そこで桐原先輩がキラリと目を光らせた。あ、これって罠に嵌ったやつ?
「じゃぁさ、ケイ君だけじゃなければ良いよね。例えば男子部員全員が女装とかなら、みんな一緒だからいいよね」
そこで男子部員から焦りの篭った言葉が
「こ、こら。男子部員全員がケイ並みになれるわけじゃないぞ。というよりむしろお化け屋敷になるまであるぞ。それに女子はどうすんだよ。男子だけ羞恥プレーってのも不公平だぞ」
桐原先輩はそれにもアイディアがあるようで
「それならさ……」
魔界への招待会議は続く。もう知らん……
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