第114話

「おーっす」

「おはぁ。ケイがこんな早く来るってめずらし……くなくなったんだったな。真由美ちゃんもおはぁ」

「村上君おはよぉ」

「く、ケイと付き合いだしてから気付いた真由美ちゃんの可愛さ。もっと早く気付いていれば」

「気付いていれば何かな?正樹」

ちょっと殺気を飛ばしながら威圧する。

「あ、いや。もっと愛でて、あ、いやそのごめん、そんな殺しそうな笑顔で迫らないでくれ頼む」

「ふん、真由美に色目使うならオレに命狙われるのを覚悟しろよ」

「大丈夫、真由美ちゃんはオレ達にとってはアイドル。アンタッチャブルだから。イエス アイドル ノータッチ だから」

真由美が抱きついてきながら

「ケーイ、ちょっとやりすぎじゃない?村上君怯えてたよ」

そういいつつもクスクスと笑う真由美が可愛いので、つい抱き締め頭をナデナデ

「でもさ、例えば神埼さんあたりがオレに言い寄ってきたら真由美はどうする」

とたんに吹き上がる黒いオーラと殺気

「もちろん命掛けてもらう」

「ほら、一緒じゃね?」

「あれ?ほんとだ」

ケラケラと笑う。こういうのも凄く楽しい。

「ねぇそこで私を例に出すのやめてくれるかしら。今ちょっとおなかがヒュゥってなったのは気のせいじゃないと思うの」

「えぇ?神崎さんいつもオレ達のいいところ邪魔するんだから、こういうときくらい生贄になってよ」

「そんなに邪魔なんて……ひ」

「28日夜……」

真由美が睨んだ。あ、かなりの殺気が込められてるな。素人相手にさすがに大人気ない……けどさぁ。あれは、おれもちょっと怒ってるので、オレもちょっと怒気込めちゃう。

「そりゃあれは、あそこまでの良い雰囲気って中々無いのに邪魔されてオレも結構うらみに感じてるし。うん間違いなく真由美が正解。神崎さん諦めて」

「あ、あのさ。ちょっと君たちふたりってもの凄くニコヤカで話してる言葉も穏やかなのに、このお腹がひゅうってなって背中に汗がながれて膝ががくがくなるのって、なんでなのかな?ね、お願い反省してるから許して」

そんなことしていたら後ろからポンポンと肩を叩かれた。見ると雄二が苦笑いで

「ケイも真由美もそのくらいにしてあげなよ。そのままだと神崎さんやばいことになるよ」

雄二の目線がちょっと下向きだったので

「あ、把握。真由美やめ、このままだと神崎さん学校にこれなくなる」

「え?」

意味は分からなかったようだけれども、とりあえず威嚇するのは真由美もやめたみたいなので、ちょいと耳打ちする

「神崎さん連れてトイレ行って来い。たぶんまだ大丈夫とは思うけど、このままだと危ないかもしれない」

真由美もハッときづいて

「ね、神崎さん反省してるならいいから、ちょっとお花摘みに行こう」

真由美が神崎さんを連れ出したところに村上がやってきて

「なぁそんなに佑香っておまえらの邪魔すんの?」

「おぉ、結構な頻度だな。学校内だけならまだ分かるけど、登下校中から休日夜間でも出没するぞ。それも良い雰囲気になった時に限ってな。あ、そういえば真由美と付き合うきっかけになったのも神崎さんの突っ込みからだな」

「佑香の突っ込み?」

「あぁオレに真由美と付き合っているのかとか、恋愛感情は無いのかとかな」

その答えに村上がなにやら溜息をついた

「佑香も自爆だったわけだ」

「って正樹っていつの間に神崎さんのこと名前呼び?」

「いや、俺たち割と一緒に遊んでるグループなんでいつの間にかだな。グループ内だとみんな名前呼びだぞ」

さすがリア充グループだな、なんて考えていたら

「多分佑香はケイのこと当時から好きに近い感じで気になってるんだと思うな」

「は?さすがに無いだろ」

「いやぁ十分ありだと思うけどな。まぁ真実は本人のみ知るだけどな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る