第107話

「「「楽しかったぁ」」」

オレとしても色々楽しかったし、奈月と向き合えたし、有意義な1日だった。

「「「ホラーハウスでのケイ君が一番の収穫でしたね」」」

オレのホラー嫌いを初めて知った3人の声がハモる。

「あぁ、もう勝手にしてくれ」

思ったより遅くまで遊んでしまった。

「レイさんの言ったように帰りは夜になっちゃったね」

「ね、楽しい時は早く過ぎちゃうのでこのくらいはね」

レイさんが綺麗なウィンクをくれた。ちょっとドキッとしたのは秘密。

そんな雑談をしつつ葉子さんの運転するワンボックスで帰る途中。

「そういえばケイの誕生日もうじきね」

真由美の一言でわいわいと騒ぎ始める仲間たち。

「何々ケイ君の誕生日って8月なの?」

葉子さんが食いついた。

「はあ、8月28日です。小さい頃なんか、いつもみんな夏休みの宿題の追い込みでスルーされてたんですよ」

「え、もう1週間も無いじゃないですか。なんで言わないんですか」

「いや、なんとなく。てかわざわざ誕生日がいつとか言います?」

「あぁまぁそうね。中々わざわざ誕生日は言わないかしら」

「初対面の自己紹介で言えば言うかもだけど、それ以外だとあまり言わないでしょ」

「それでも知ったからにはね」

葉子さんがちょっと楽しそうだ。

「そうよね」

レイさんが乗った。けどなんだろう?

「「ケイ君の誕生日パーティーをしましょう」」

葉子さんとレイさんの声がハモった。

「えーと、そのお気持ちはとっても嬉しいのですけど」

「何か予定あった。あ、真由美ちゃんとラブラブデート?」

あ、真由美にクリティカルヒットしてる。

「たぶんなんですけど、その真由美の宿題がですね。その頃佳境に入っていると予想されまして。その手伝いでオレもその……ね」

何かを察したふたりが

「「真由美ちゃん。彼氏の誕生日にお祝いできないってどう思う?」」

「く、ここで言い訳の出来ない攻撃ですか」

真由美が苦しそうだ。

「「てか、ケイ君や雄二君は平気なの?」」

「あ、まぁその、オレ達って先にやっちゃうタイプなんで」

「ふぅん、じゃぁふたりで……。あ、そっか雄二君はなっちゃん担当ね。ケイ君、明日から真由美ちゃんとマンツーマンで宿題やっつけちゃいなさいよ。で、当日は誕生日パーティー。ほら完璧」

オレは苦笑しながら

「ほら、真由美。レイさんも葉子さんも同じこと言うだろ。それに途中までは順調にやってたんだからそんなに残ってないんじゃないか今年は」

「そ、そりゃ今年は色々頑張ってたから去年までみたいなことは無いけど」

「な、真由美が頑張ってたのはオレもちゃんと見てたから。なんだかんだ言って宿題以外の勉強もしてただろお前。去年……は受験勉強で凄かったか。中2の冬休みまでなら遊び呆けて最終日に泣き付いてきてたとこだろ。真由美もちゃんと成長してるのは分かってるから。ちゃんと見てる。だから手伝うから頑張ろうぜ」

「う、うん。ありがとう頑張る」

「ん、ううんううん」

幸枝が何か唸ってる。

「なに?」

「あのねぇ、みんなの目の前でいきなりイチャつきだすんじゃないわよ」

真由美と顔を見合わせて

「「なんかごめん」」

「くぅ、その息の合ったところがまた悔しい。でも、それがあなた達なのよねぇ」

はぁっと溜息をつくと

「宿題は私も手伝ってあげるわよ。明日から宿題が終わるまで朝10時に森川家集合ねケイ君」

「おぉ、助かるよ。英語、社会、古典は頼むな。現代文と理数はオレが叩き込むから」

「ほら、これはうちの学校でも最強の布陣よ。宿題なんか2~3日で終わらせちゃいましょう」

「たださ、集合は家にしないか?」

「なんで真由美ちゃんの宿題なのにケイ君の家?」

「まぁその飯の都合。オレが作るからさ。雄二もたぶん奈月の勉強を見に家に来てくれるだろうし。で夕方までみっちりとだな」

「「「「やったね」」」」

とたんに歓声があがった。と同時に女子大生2人から

「「いいなぁ」」

「くく、良かったらお二人も来ます?オレと幸枝ふたりともがずっと真由美に付きっ切りって訳でも無いですし。真由美だって息抜きはするだろうし。普通に遊びに来てもらえれば。ご飯くらいご馳走しますよ」

「「是非。何か差し入れもって行きますね」」

臨時宿題プチ合宿が決定になった

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