第96話
実家にいる間、めぐの家庭教師的なポジションで勉強を教えていた。強請られて料理も簡単なもので昼食1回とクッキーを1度作って恵と奈月のところに遊びに来ていた京極スズナにも食べさせた。3人とも目がとろんとして危ないやつになりかけたのは笑った。
なんだかんだ言いつつ楽しく過ごしたお盆も16日に送り火を焚いて帰宅することになった。
「景にぃ、これからは前みたいに普通に来てくれるんだよね。」
めぐが少し名残惜しげに聞いて来た
「ああ、もう大丈夫だから。次は正月かな。でもその時期は祐にぃも、めぐも受験勉強大詰めだからな。あまり遊んでいられないんじゃないか」
「そっかぁ、お正月は受験生は勉強で必死な時期かぁ。でも1日くらいは……」
「ダメだぞ。その1日くらいって考えが、最初は1日くらいが、もう1日もう1日で勉強しなくなるんだから」
「景にぃも受験の時はそうだったの?」
「あたりまえじゃないか。そのあたりの時期は模試の合格判定に一喜一憂しながらA判定出ても不安で不安で、その不安を塗りつぶすために勉強したよ。そうそう奈月も高国志望だから連絡取り合って励まし会うのも良いと思うぞ。知佳も本気で高国志望にしたのなら知佳とも一緒に励ましあって勉強するといい」
「でもライバル……」
「あのなぁ、隣にいる友人を蹴落とすより。協力して他の大勢を抜き去ったほうが絶対に良いから。受験てのはそういうものだから」
横にいる祐にぃに
「祐にぃ。受験勉強の大変な時期にお邪魔して……。ありがとう」
それに対して祐にぃはニッコリ笑ってくれた
「うん、元気になった景と奈月が見れたからオレも嬉しかったよ。これからもガンバレ」
そこに知佳がやってきた。
「景ちゃん、奈月ちゃん久しぶりに来てくれて嬉しかった。また来てね。景ちゃんは諦めないからね。覚悟しておいてね」
「そこは諦めろよ。頼むから」
「やだ。あ、それと高国に合格したら時々で良いからご飯作ってね」
にっこりとウィンクしてきやがった。また頭の痛い問題が増えた。それでも5年越しの想いといわれれば無碍にも出来ない。正面から向き合ってお断りするしかない。しかないんだけど、憂鬱だぁ。嫌なんだよ、辛いんだよ、そういう真剣な想いを断るのって。でも受け入れるわけにはいかない。せめて自宅に帰ったら真由美とイチャイチャして癒してもらおう。
16日夜8時頃に自宅に着いた。荷物を片付け。洗濯物を洗濯機に放り込んでスイッチを入れる。風呂の準備をして自動お湯張りをオンにしたところで。
「お風呂沸かしてるから、先に入ってね。オレ最後でいいから」
声を掛けて。自分の部屋に行く。トークアプリを立ち上げダイレクトメッセを入れる
kei:今帰宅したよ
mayuyun♡:おかえりぃ。ちゃんとおじさんに挨拶できた?
kei:ただいま。うん行くのが遅くなってゴメンって、これまでの事を報告して。真由美と付き合ってる事も報告したよ。そして今幸せだから安心してって言ってきた。
mayuyun♡:ちゃんと報告できてよかったね。田舎はどうだった。
kei:向こうの従兄妹と友達が高国受けるって言い出した
mayuyun♡:おぉ友達が増えるね。
kei:まぁそれは良いんだけどね。
mayuyun♡:何かあったの?
kei:従兄妹は良いんだけどさ。友達がね……
mayuyun♡:友達が?
kei:告白してきた。
mayuyun♡:まーた変なフラグたてて
kei:即断ったよ。だいたい前に会った時ってオレが小学校5年の冬だぞ。まさか当時小4の女の子に好きだとかなんとか思われてるなんて想像の範囲外だって。
mayuyun♡:あぁ、まぁそれは分かるけど
kei:真由美に変な誤解をされると嫌だから先に話した。後から知ったら嫌でしょ
mayuyun♡:うん、まぁそうだね。でも断ったなら良いじゃ無いの?
kei:諦めないとか言ってるので合格したら突撃してくる可能性あるので、そこで真由美が知らなかったらへんな誤解されると困ると思ったからね。ちゃんと話しておこうと思った
mayuyun♡:わかった。他は?
kei:他はまぁ通常運転な感じかな。2回ご飯作ったくらいで。他には何も
mayuyun♡:……その子の胃袋掴んできたんじゃ無いの?
kei:オレを諦めてから来いって言っておいた
mayuyun♡:ぷぷぷ、究極の2択だ(^▽^)/
kei:あ、でも従兄妹の方は合格したらうちに下宿するかもしれん
mayuyun♡:従兄妹ってことは女の子?
kei:そだよ。あ、ひょっとして心配した?
mayuyun♡:う、ちょっとだけ
kei:めぐは平気だよ。妹にしか見れないし、向こうも二人目の兄としか見てない
mayuyun♡:それってケイが思ってるだけじゃないの?
kei:大丈夫、大丈夫。だいたい色気より食い気だから。うまい飯食わせておけば大人しくしてるから大丈夫だ
mayuyun♡:ん~、それでも心配
kei:それより明日って忙しい?
mayuyun♡:明日は1日予定無いよ
kei:お、じゃぁデートしようぜ
mayuyun♡:わ、うれしい。どこ行くの?
kei:映画見てモールで服見て欲しい。2~3枚、秋に向けて買いたいから真由美に見立てて欲しいなって
mayuyun♡:OK。ケイに似合うの見立ててあげる
そのあと雑談をしばらくしていたが、風呂呼ばれたので、また明日と言って切った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます