第83話

朝7時。真由美と並んでの朝食中。『コロロン』スマホから珍しい通知音が鳴った。これは確か軽音部のグループチャットに設定した通知音かと思い出しながら画面をスワイプ。暗証コード入力し指紋認証を行う。横で真由美もスマホをいじっている。同じグループチャットにメッセが入ったようだ。

みほちゅん:明後日金曜日午後2時よりKKシーズンおよびケイ、真由美の秘密会合を行う

kei:神無月先輩、HNと台詞があまりにミスマッチで草

みほちゅん:うぅ、頑張ったのに

kei:そういうのは頑張ったとは言いません。暴走と言います

mayuyun♡:おはようございます。むしろkeiが美穂先輩のHNに突っ込んでないところに優しさを感じて嫉妬してますが。ケイ分かってるわよねぇ。(悪魔のスタンプ)

kei:あぁもうそんなところにしっとしてんなよ。横で朝飯食ってんだから分かるだろうが。

みほちゅん:え?ふたりってもうそういう関係?朝ちゅん?朝ちゅんなの?


あ、しまった。これだけ見たらそう思えるか。


mayuyun♡:えへへ。いいでしょう。ケイの寝顔可愛いんですよぉ

kei:おい、日常会話に叙述トリックを混ぜるな。

みほちゅん:でも、朝ご飯を横で食べてるって

kei:あぁ説明が面倒だな。オレって朝が弱いんですよ。で真由美が家まで起こしに来てくれるので、お袋が朝飯一緒にって言って。最近一緒に食べてるだけです。

みほちゅん:なーんだ。つまんないの。あなたたち恋人でイチャラブなのに、そういうところが奥手よねぇ。幼馴染って恋人になってもそんなものなの?

kei:ノーコメント

mayuyun♡:ケイってヘタレて襲ってくれないんですよぉ。

kei:やめい。そういうのを赤裸々に語るな

みほちゅん:まぁいいや。んで連絡事項です。こないだ内木戸先輩から提案のあったカラオケを明後日金曜日の午後2時から行います。都合を連絡してね。

kei:オレは大丈夫ですよ

mayuyun♡:あたしも大丈夫です。

mayuyun♡:でもその時間って事は部活中に集まるんですか?

みほちゅん:部活の一環として行きます

mayuyun♡:はーい

kei:わかりました


朝早い事もあり、他のメンバーからの返事はすぐには無かったが、普段部活してる時間だからタブン大丈夫だろう。


朝は当然陸上部

「おはよう」

「さっちゃん、おはよぉ」

「あ、ケイ君、真由美ちゃん。おはよぉ」

「今日も暑いねぇ」

「二人が熱いのはいつものことですよね」

「幸枝わざと言ってるよね。字が違うの分かってて言ってるよね」

「冗談はともかく、海に行きませんか」

「いきなりだね」

「さっちゃん、何かあったの」

「いきなりって、何かって。暑い夏休み。高校生の夏休みと言えば海水浴は定番イベントじゃないですか」

「言いたい事は分かった。海に行くってのも悪くないよね」

「さっちゃん、海に行くのは良いんだけど。何か考えてない?なんとなく黒いオーラが見えるんだけど」

「え?まさかぁ。海でちょっとケイ君と二人きりになって岩場でなんて考えてませんよ」

「思いっきり考えてるじゃん。何いきなり泥棒ネコモードなの?正々堂々のアタックは認めてるけど、泥棒ネコみたいなのは許さないからね。そうしたら私本気モードで命取りにいくからね」

あ、幸枝が真っ青になった。でも引き下がるつもりは無いらしい

「いいじゃないですか、少しくらいケイ君と二人きりにさせてくれたって。別にそのくらいで真由美ちゃんからケイ君を盗れるなんて思ってませんから。私だって女子高校生なんです、好きな男の子との思い出のひとつくらい作らせてくれたっていいじゃないですか」

あ、真由美の本気モードで真っ青になりながらも幸枝が反撃した。

「う、そういう言いかたをされると。あたしも友達の思い出つくりにちょっとくらいは協力したくなっちゃうじゃないの。でもケイとさっちゃんが海でふたりきり・・・うぅぅぅ。しばらく考えさせて」

「おはよぉ。真由美何うなってんだ?」

「あ兄貴、海に遊びに行こうって話なんだけど、それは良いんだけど・・・」

「なんだよ?」

「おはよう雄二」

「ケイおはよう。真由美は何があったんだ?」

「本気モードで威嚇した幸枝から反撃されてその言葉に悩んでいるってところかな」

「ふーん、さっちゃんてことはケイ絡みって事だろ。おまえがさっちゃんを何度もしっかり振っているのは知ってるけど・・・ケイも大変だなぁ」

「んで幸枝の提案で来週海に行かないかって話なんだが雄二はどうする?」

「海かぁ。行きたいのは山々なんだけど・・・」

「察した。まぁ奈月のことは頼んだ」

「悪いな」

「いやこっちこそ悪いな奈月の面倒を全部おしつけてるみたいで」

「あはは、それこそお互い様だろう。僕も真由美の面倒は全部ケイに押し付けてるわけだし」

「そう言ってくれると助かる」

「レイさんと葉子さんはどうするんだ」

「あぁそうだなぁ・・・」

チラリと幸枝と真由美を見てため息をついた後、空を見上げた。8月の空はギラギラと眩しかった。


結局レイさんと葉子さんにも声を掛けたが、二人はちょうどその日単発のバイトが入っているとかで不参加となった。すごく残念そうだったので、今度また別で遊びに誘おう。という事でお盆直前の水曜日にオレと真由美、それに幸枝の3人で海に遊びに行く事になった。あれ?このメンバーって実はちょっとオレがやばくね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る