第81話
「お疲れ様でしたぁ」
「また、あしたぁ」
練習を終え機材を片付け、ギターをギターケースに入れて背負う。スポーツバッグを抱え、声を掛ける
「じゃぁ行きましょう」
レイさんと葉子さんを着替えのためにオレの家に案内するため、葉子さんの車に同乗させてもらう。真由美も一緒に送ってくれることになっている。真由美の家までオレの家から歩いても10分掛からない。けれど今日の場合は
「じゃぁ送っていって着替えたら迎えにいきますね」
「いえ、ケイの家に一緒に行きます。兄貴が着替えだのなんだの全部持ってケイの家に行ってる事になってるし、それにさっちゃんがケイの家でメイクの準備してくれることになっているので」
「あぁそのあたりは幼馴染ならではですねぇ。普通のカレカノだと着替え前とか彼女が彼の家にって無いですよ」
「え?そうなんですか?」
「ほら、カレカノの関係だとかっこ悪いところとか、見せたくないって意識が先なので、着替えてから行くんですよ」
「へぇ、まぁオレと真由美の間だと。かっこ悪いところとか今更だしなぁ」
「まぁねぇ。生まれてずっと一緒だものね」
葉子さんがちょっと首を傾げて
「その聞いて良いのかな。生まれてからずっと一緒と言うには家がちょっと離れてない?」
「あぁオレが小6の頃にうちが引っ越したんですよ。それまではお隣で、お互いの部屋を屋根伝いに訪問するってマンガみたいな幼馴染でしたね」
「あぁそれで生まれたときからなんですね」
真由美の顔を見る。ちょっと悲しさが入っているが笑えているな。オレは大丈夫だろうかポーカーフェイスできているだろうか。真由美がそっと頷いてくれた。
「そういう事なので、言っちゃえばお互いの家がそれぞれ2つ目の家みたいなものなんですよ」
真由美も追加で
「お互いの親が忙しい時なんかは普通に泊まってたりしますしね」
ふと思いだして
「そう言えば真由美こないだ泊まった時にブラ忘れて行っただろ。」
レイさんと葉子さんが吹き出す。それに対して真由美は
「あ、あれかぁ、ん~、今ケイの家に置いてあるブラはサイズが合わなくなってるからそっちを置いといてよ」
「んじゃ古いのは処分しとくわ」
ん?なんかレイさんと葉子さんの反応が・・・
「「もうあなた達ほとんど夫婦ね」」
真由美がポっと顔を赤らめて
「そ、そんな夫婦だなんて、まだそんなことしてないし・・・」
「「幼馴染カップルってのはもうぉ。色々順番が違うでしょ。使用済み下着見られて平気とか古くなった下着の処分を平気で任せるとかしてるのにまだしてないってありえないでしょうがぁ。同棲カップルでも中々そこまでいかないわよ」」
二人の魂の叫びにオレ達はきょとんとして
「まぁオレ達なんで」
脱力したレイさんと葉子さんはどうやら気にしたら負けということになったらしい。
家に着くと既に幸枝も居て奈月と楽しそうに話していた。
「んじゃ、順番にシャワー浴びて準備しようか。女性陣から先にどうぞ。シャワーの後の時間掛かるでしょ」
「チャットの時も思ったんだけど、にぃが女の子に対してちゃんと気遣いができてる。幼馴染から恋人にクラスチェンジで新規スキル獲得したってことなの?」
「おい、奈月。何ゲームみたいな事言ってんだよ。しかもRPGみたいな、女子がやるならもっと違うゲームがあるだろうが」
「ふん、にぃは古い。今は女子がMMORPGで遊ぶ時代」
「もういいわ、どうとでもしてくれ。とにかく順番にシャワー浴びて出かける準備してな。女性陣のシャワー終わるまでオレと雄二はオレの部屋に篭るから、終わったら呼んでくれ」
「え、にぃ覗かないの?」
拳骨を落とす。
「ひぃ痛い、可愛い妹のちょっとしたちゃめっけなのに。あ、雄二さんはあたしのお風呂は覗いていいからね」
「もう一発欲しいか?」
「ごめんなさい」
微妙な顔をしている真由美に
「真由美どうした?」
「ケイ、覗かないの?」
「おまえもかぁ」
頭にチョップした
「「だって彼女のお風呂ってチャンスがあったら覗くのが彼氏の義務でしょ」」
「「「「そんな義務はないわぁ」」」」
4人の声が揃った。ん?4人??
「そうねぇ、それで真由美ちゃんと間違えてあたしのお風呂を覗いちゃうまでがセットかしら」
「幸枝、おまえもか」
「さっちゃん」
「あれ?この場合私を攻めちゃだめよ。だってあくまでも覗くのはケイ君が、真由美ちゃんのお風呂を覗こうとするのが、アクシデントであたしを覗いちゃうだけだから」
「もう、いいからお前らさっさとシャワー済ませろ。オレと雄二はオレの部屋にいる。レイさん葉子さんおふたりが頼りです。女性陣のお風呂終わったらどちらかが呼んでください。他は今回信用ならないので」
「くすくす、はい、間違いなくあたしか葉子がお呼びしますね」
オレと雄二はオレの部屋に逃げ込んだ。
その後はオレのシャワーに真由美が突撃しようとしたり、それを阻止しようとしたフリをして幸枝が飛び込んできたり、それが終わって油断した雄二の風呂に奈月が侵入しようとして葉子さんに羽交い絞めにされたりと小さな(?)アクシデントはあったものの予定時間にはみんなの準備が整った。
そして、並んだ女性陣が壮観だった。
「さすが幸枝だな。ちょっと芸能人にも中々いないレベルのしあがりじゃないか」
「そうでしょう、今回みんな素材が良かったから力はいっちゃったよ」
ドヤ顔の幸枝だ。
「でも、それでもオレには真由美が一番だな」
と抱き寄せると
「分かってるけど。分かってるけど、ここでそれは言っちゃだめでしょう。私が可哀想すぎるでしょうがぁ」
「幸枝も可愛いよ」
頭を撫でながら囁いておくと。幸枝の真っ赤になった顔を見ることが出来た。
「ケイ」
あ、腕の中に黒いオーラ発生
「真由美が一番可愛いから。好きなのは真由美だから」
一生懸命なだめるのだった
後ろで
「ふえぇ、さっちゃんねぇって凄い。それににぃの周りがいつの間にか美人だらけだ。これってラノベのハーレム?」
目を丸くした奈月が呟いた
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