第77話

京先輩に如月の暴走から助けてもらったその後、通常通りの陸上の練習を終え午後は真由美とふたりで軽音部の練習に・・・何か騒がしいな

「こんにちわぁ」

あ、内木戸先輩が今日も来てる。受験勉強とか良いのかな。

「あ、ケイ君、真由美ちゃんこんにちわ。夏休みは合宿以外皆勤賞ね」

「神無月先輩こんにちわ。何か騒がしいですけど何かあったんですか?」

「あぁえーとね・・・」

「お、ケイ君、真由美ちゃん1週間ぶり~」

「「あ、長瀬さんこんにちわ」」

「え?何知り合い?いつの間に?」

「あれ?言いませんでしたっけ?合宿の時に知り合って合同で突発ミニライブしたって」

「聞いてないわよ。いえ、突発ミニライブまでは聞いてたけど、相手がSJだなんて聞いてないわよ」

完全に混乱している神無月先輩。

「じゃぁ、今言ったということで」

深呼吸して落ち着こうとしている神無月先輩も可愛いな。

あ、真由美の目がちょっときつい。なんで気づくんだよ。オレの彼女はエスパーか?

「で、そのSJのリーダー達也がKKシーズンの本拠地に何の用かしら?」

神無月先輩説明的なセリフだな。

「うん、実はケイ君と真由美ちゃんが欲しくてね」

「はぁ?猫の子じゃあるまいし。欲しいからください、はいどうぞっていくわけないでしょ」

「ん~、まぁそう言うだろうとは思ったけどね。とりあえずこのディスクを」

「「ちょっとまったぁ!!!!」」

「ん、どうしたのふたりとも」

神無月先輩がびっくりしているが、それだけはダメだ

「長瀬さん、約束しましたよね。絶対に他に流さないって」

オレと真由美は本気で詰め寄る。マジであれ流すなら命かけてもらうぞ

「大丈夫、音声トラックだけだから。あれは分からないから」

「うぅぅならギリ良いですけど。お願いしますよ。今後も絶対にダメですからね。流しちゃったら命かけてもらいますからね」

最後にちょっと殺気と威圧を混ぜてしまったのは二人の立場からしたらやむを得ないと思って欲しい。長瀬さんは冷や汗を流しながら

「わ、わかってます。絶対に流しませんから」

再度約束を確認してくれた。

で、音声だけのディスクを再生した結果

「ケイ君、真由美ちゃん。ステイ」

何かな?神無月先輩が壊れてる?ニコニコと良い笑顔なんだけど、どす黒いオーラが見えるのは気のせいかな?

「なんでしょう」

「特にケイ君。ステージは当分やらないって言ってたよね。騒がれたくないからって、軽音部としての活動さえ拒否ってたよね。それが何?いきなりよりによってSJとコラボ?しかもSJの未公開オリジナルのボーカル?なんで?どうして?やるならうちででしょ?KKシーズンはいつでも大歓迎なんだよ」

神無月先輩の怒涛の攻めに防戦一方のオレ達だけど、なんとか言い訳を紡ぎだす

「その、話の流れ的に?合宿所内だけの小規模だったし。それに実はそのときSJがそんな有名なグループって知らなかったし。なんなら周時高校の軽音部って名前だけでSJってのも知らなかったし」

「知らなかったじゃ済まないわよ、こんな明らかなメイン張っちゃって」

「そうは言っても。神無月先輩、KKシーズンの時はもっと酷かったですよね。オレKKシーズン知らなかったのに、デートでライブに見に行ったところを強引に拉致って歌わせたの神無月先輩ですよね。オレの意思の確認すらしなかったですよね」

「美穂そんなやりかたで引き込んだのか」

あ、長瀬さんが思いっきり引いてる。てか二人ってナチュラルに名前呼びなのな。仲良いのか。


そのあと色々話し合った結果。さすがに高国高校軽音部所属である以上SJ専属というのは許容出来ないということで、事前連絡の上でスポット参加のみ可ということに。もちろんオレや真由美の同意がある場合のみというのも盛り込んでもらった。が、それだけだと許容できないのが神無月先輩をはじめとしたKKシーズンのメンバーで、SJとの話と同時にKKシーズンにも参加する事を盛り込まれてしまった。しかも当然のように同日もしくは近日で練習やその他で影響がある場合はKKシーズンが優先権があるとか・・・なんだこのまるでオレや真由美を奪い合っているかのような構図は・・・てか本当にあなた達高校生ですか?すっげぇビジネスライクな取り決めなんですが。

とりあえず、オレが避けてきていたつもりだったステージへの参加が色々な条件がつくとはいえ決まってしまった。

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